EUとポピュリズムのせめぎあい ⑤

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 欧州議会選挙後のEU はどこへ向かうのだろうか。2017/03/01、にコミッションが公表した「欧州将来白書」では5つのシナリオが示されている。それは、第1にEU の権限の範囲と強度を現状のまま維持することである。第2に「アラカルト欧州」であり、EU レベルの協力を単一市場の深化にとどめることである。すなわち、EU の権限の範囲を単一市場のみに縮小し、それ以外の権限を加盟国に返還することを意味する。第3のシナリオは「2速度式欧州」である。意思と能力を有する加盟国が特定分野先行して統合を進める一方、他の加盟国も後から参加することが可能である。第4のシナリオは「準アラカルト欧州」であり、EU の権限を一部縮小して加盟国に返還する代わりに、残りの分野ではEU の権限を強化することを意味する。第5のシナリオは、EU がすべての政策分野で権限を一層強化して共通の課題に取り組むことである。

 以上のシナリオは、政策分野に応じて組み合わせが可能。ポピュリスト政党が選好するのは明らかに「アラカルト欧州」である。それには国境管理や移民・難民政策の権限をEU から取り戻すことが含まれる。しかし、ハンガリーとポーランドの事例を参照するならば、ポピュリスト政党は自国のアイデンティティを唱えて多文化主義を否定し、移民・難民などの「他者」を排除する。

 また、多数派支配を維持するために「法の支配」を軽視し、司法権の独立やメディアの中立性を否定することにより、権威主義化するリスクを伴う。EU では、それは人権、法の支配などに対する重大な違反を対象とする権利停止手続きの対象となる。また、6月24日EU 司法裁判所は、ポーランドのポピュリスト政権が最高裁判所判事の定年を恣意的に引き下げて現職判事を排除したことがEU 法上の司法権独立に反するという判決を下している。

 他方で、金融政策を補完する追加的な政策手段としてユーロ圏共通予算を導入することなどの課題については2速度式欧州が必要とされる。一方、気候変動・環境問題に関しては国境を越える課題としてEU が権限を強化して主導的役割を果たすことが期待される分野である。環境保護派の「緑の党・欧州自由連合」をはじめとする親EU 派政党の協力が期待される。

2019年8月20日 (火)

EUとポピュリズムのせめぎあい ④

続き:    ポピュリスト政党が結束を維持できる場合、EU を内から変革するため、その政策決定に影響を及ぼす径路として、欧州議会以外に政府間ルートが存在する。欧州議会ルートとは、EUの政策立案・執行機...

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2019年8月19日 (月)

EUとポピュリズムのせめぎあい ③

続き:    しかし、ポーランド与党で26議席の「法と正義」やハンガリーのオルバン首相の与党で13議席の「フィデス・ハンガリー市民連盟」(フィデス)、また、イギリスのファラージ氏が率いる29議席のブレ...

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2019年8月18日 (日)

EU とポピュリズムのせめぎあい ②

続き:  今年5月23~26日に実施された欧州議会選挙は、28加盟国の4億2600万人を有権者とし、インド(有権者約9億人)に次ぐ世界第二の規模の民主的選挙であった。投票率は先回2014年選挙の際の約...

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2019年8月17日 (土)

EU とポピュリスムのせめぎあい ①

庄司克宏(慶應義塾大学教授)さんは「世界 8」に「欧州の行方を占う選挙が5月に実施。いまや「常態化」しポピュリスト政党が構成する勢力地図はどのように変化したのか。今後のシナリオを描き出す。と述べている...

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2019年8月16日 (金)

Clinical 「超高齢社会を支える義歯治療」 ⑤

続き:   5 . 全部床義歯における顎間関係について    ある患者のゴシックアーチ描記図とその旧義歯はレトロモラーパッドに届いておらず、ホームリライナーを使用していた。安定しない義歯を無理矢理使っ...

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2019年8月15日 (木)

Clinical 「超高齢社会を支える義歯治療」 ④

続き:   5) 顎舌骨筋部  この部分は、顎舌骨筋の緊張により義歯床縁は開き、内側に凸の外形となる。またこの部は積極的な辺縁封鎖を考える必要はなく、顎舌骨筋の緊張を避ければよい。さらに後顎舌骨筋窩の...

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2019年8月14日 (水)

Clinical 「超高齢社会を支える義歯治療」 ③

続き:   4) 舌下腺部  下顎義歯吸着の最大の源であり、ここが辺縁封鎖できていないと義歯は浮き上がる。機能時の口腔底の動きは極めて大きいため、「ここに、この形の床縁をもってくれば必ず吸着する」とい...

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2019年8月13日 (火)

Clinical 「超高齢社会を支える義歯治療」 ②

続き:   4. 下顎の印象について   1) レトロモラーパッド(臼後隆起)部  レトロモラーパッドを印象域に含めるということは維持、支持、安定を確保する上で絶対に必要なこと。特に顎堤の吸収が著しい...

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2019年8月12日 (月)

Clinical 「超高齢社会を支える義歯治療」 ①

水口俊介(東京医科歯科大学大学院総合研究科高齢者歯科学分野教授、同大学歯学部付属病院副病院長)さんの研究文を記載する。 コピー・ペー:                          要 約  高齢...

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