『基本的人権』がますます細っている
4/15の全国保険医新聞より神奈川県で「ゼロの会」の活動を続けている中から、作家・詩人の辻井喬さんをゲストにスペシャル対談を開催した。そのことをコピー・ペーする。マイケル・ムーア監督の最新作、ドキュメンタリームービー『キャピタリズム~マネーは踊る』の上映もあり、500人余りの市民が詰めかける程の盛況だった。辻井喬さんは実業家の堤清二として旧セゾングループ代表を務めたが、94年には『虹の岬』で谷崎潤一郎賞を始めとして、作家・詩人として執筆活動を本格化した。父・堤康次郎との確執と人としての理解、野間文芸賞として『父の肖像』(04)。『消費社会批判』や『憲法に生かす思想の言葉』など社会・経済に関係する作品も多い。3月には大平元首相の生涯を描いた『茜色の空』を刊行。さて、対談になると、神奈川県保険医協会名誉理事長の平尾紘一さんと進行していく。平尾さんは最初に、いつでも、どこでも、誰でも保険証1枚で病院に診察を受けられるのが、日本の特徴で、「WHO健康達成度で日本は世界一を誇るのだが、医療費は世界では21位と、安いのに質がよくとても効率的だった」と話した。「しかし、低医療費政策が長引き、国民の85%が30%窓口負担となって治療中断や受診手控えなどが相次いでいる。私の病院でも、できれば、スタッフを1,2人雇用すれば治療効果が上がるのにそれができない。医療崩壊は実際どこの病院でも深刻なのだ」と強調した。一方、辻井さんは、「医療などの社会保障は憲法で明らかに定められているのだが実際には十分ではないのは問題である。医療はその国の状態を曝け出す。アメリカの医療はある面では遅れているのに、日本の政治家や官僚などはそんな『アメリカのようになれば良い』と考えているのだろうか」と現在の日本の制度に疑問を呈した。さらに、彼は、「企業や財界人は労働者の立場として何も考えていないのだ。社会保障負担はしたくない。それだから、非正規雇用を増やす。弱者に冷たい企業、そしてそんな社会になっている。「医療を受けられるというのは『基本的人権』だ。人間を人間らしく大切に扱える制度や国にしなければならない」と指摘した。その上、ゼロの会に賛同している精神科医のなだいなださんは、「酒税をアルコール依存症の治療費に回そう。空気を汚した企業が肺がんの治療費も出すべきだ。そういう観点も重要では」と発言があった。この対談の前に、『キャピタリズム~マネーは踊る』が上映。この内容とは、資本主義大国アメリカでは、1%の富裕層が95%の富を独占。利益のために従業員に無断で生命保険を掛け、高金利で無理に勧めた住宅ローンが払えなくなると家を取り上げ放り出す。「利益と富がすべて」であるアメリカの実情を鋭く描いたムービーだった。 | ||
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