« 社会保障の必要性を問い直す | トップページ | スウェーデンの国民総背番号制度 »

2012年4月 4日 (水)

「シンプル・イズ・ベスト」

従来の宇宙開発では、衛星には100%近い超高信頼度が求められ、それを実現するために複雑な設計作業、高価な宇宙用部品の利用、多くの人のチェックや管理、莫大な書類作業などが発生し、それが宇宙開発のコスト爆発の一因となっている。しかし、それでも故障する、あるいは衛星が死んでしまうケースは実際に起こっている。一方で、海外も含め大学やベンチャーの衛星は、設計はシンプルで信頼度もそこそこを狙っているのに、結果的に衛星が壊れないというレコードを持っているケースも多い。その違いは何なんだろう?ーそこから始まる設計思想の再考が「ほどよし信頼性工学」である。重要な要素を一つだけ挙げると「シンプル・イズ・ベスト」の論理。たとえば、冗長化(同じものを複数個並べて信頼性を上げる)により計算上は信頼度はもちろん上がる。しかし、システムが複雑化し部品点数が増えることで、人間のミスや製造エラーも入りやすくなり、故障が発生個所も増えるなどの効果で、結局は信頼度がそんなには上がらないケースも多い。つまり、紙の上の設計信頼度だけでなく、その設計がその通りに作られ動く確率もかけないと、真の信頼度にはならないのである。それを科学しようというわけである。また、宇宙環境耐性を試験する「地上試験」も、超小型衛星の特質を利用して本当に必要なものだけを「ほどほどに」実施しよう、地上観測の分解能も1mを切る最高レベルではなく、5m程度の「ほどほどの」性質を使ってどう面白いことができるか工夫しよう、など、極限の性能や信頼性を追及してきた従来の宇宙開発の思想をもう一回見直し、コストや実質的な利用価値を反映した「適度な」設計に替えていこうというムーブメントである。これは行き過ぎだといろいろな批判もあるが、議論を繰り返す中で、まさに、ほどよい「ほどよし信頼性工学」に結実していってほしいと。




« 社会保障の必要性を問い直す | トップページ | スウェーデンの国民総背番号制度 »

映画・テレビ」カテゴリの記事

トラックバック


この記事へのトラックバック一覧です: 「シンプル・イズ・ベスト」:

« 社会保障の必要性を問い直す | トップページ | スウェーデンの国民総背番号制度 »