通常運転している原発周辺では
ドイツの原発(16基)周辺に住んでいる5歳以下の子供1592人と対照4735人を対象に、1980~2003年の間に見られたがんについて比較した症例対象研究がある。それによると、原発から5Km以内に住む子どもで、全てのがんの発症リスク(オッズ比1.47)が観察され、特に白血病の発症は、約2.2倍(オッズ比2.19)と高リスクを示した。スイスの昆虫学者ヘッセ・ホネガーは、スイスとドイツの原発、およびフランスのラ・アーグ再処理工場周辺で、20年にわたって採取した1万6000匹以上の昆虫を調べたところ、全先天異常だ30%、形態異常を示したものが22%に観察された。この数値は汚染されていないビオトープで見られる1~3%よりはるかに多かった。このデータは、原発や再処理工場からコンスタントに排出されているトリチウム、炭素14またはヨウ素131が直接影響したものと考えられた。さらにチェルノブイリや核実験の降下物のセシウム137など、長半減期人工核種が食物連鎖に入り込んだ影響。今回の研究は、低レベル放射線とくにエアロゾルを介して運ばれ拡がったホットαおよびβ粒子が生物圏、中でも昆虫に大きな負荷を与えているとの確かな証拠を支持するものだ、としている。
|
||