ハンフォード原子力施設労働者の健康障害
米国疫学界の第一人者・マンクーゾは、米国の「原子力委員会」(AEC即ちNRCとERDAの前身)の委託を受け、1944年~1972年間迄の29年間、ハンフォード原子力兵器製造施設で働いた労働者24939人の調査を行った。彼らのうち死亡者は3520人、このうち白血病を含む癌による死亡670人だった。彼らが生前、職場で浴びた外部放射線量は平均1.38rad(1rad=100Gy)。それに対して癌以外の原因による労働者の平均線量は0.99radだった。癌によって亡くなった労働者の方が、生前40%多く放射線を浴びていたことになる。この調査結果をもとに、マンクーゾは1977年に発表したレポートで、つぎのように結論づけた。「人間の命を大切にするというなら、原子力発電所内部で働く作業従事者の被曝線量は年間0.1rem(1mSv)に抑えるべきである」。マンクーゾの方法論は、「ソシャル・セキュリティー・ナンバー(国民一人一人に番号をふり、生年月日、出生地、職種、家族構成、収入、死亡年月日、死亡地などがすべて記録される)」を駆使した精度の高いものだ。このレポートを発表した途端に、米国政府エネルギー省は調査費の支給を打ち切ってしまい、調査データをマンクーゾの手から捥ぎ取ってしまい、彼に「ぺルソナ・ノン・グラーダ<危険人物>」の烙印を押した。
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