« 1000隻を超えるマグロ漁船員の内部被曝 | トップページ | 原爆被爆者の内部被曝 »

2012年9月26日 (水)

マーシャル諸島住民の内部被曝

水爆実験による被害の中で、マーシャル諸島の住民の被曝は深刻。実験から現在60年以上になる。いまだに本来住んでいたところに戻れない人が多い。さまざまな急性障害や晩発性障害を背負い、生活や文化のすべてを根こそぎ奪われてしまったのだ。被曝者調査を実施した竹峰誠一郎(早稲田大学)は「その人たちの人権や人間の尊厳の回復につながる」研究が必要だと訴えている。この地域の住民の中にも、内部被曝の結果と考えられる先天障害がある。高知県のグループはこの海域に住んでいる人たちの聞き取りもしたが、「以前にはなかった流産が多く、死産もあり、いろいろな障害を持った子どもが生まれるようになった」という証言がある。アメリカは、マーシャル諸島でいろいろ調査をやり、アメリカの原子力委員会(1974年廃止、エネルギー省に吸収)が、データを全部持っていった。広島、長崎の原爆調査を行ったABCC(原爆傷害調査委員会)同様、徹底的にサンプルを集め調査するが、治療は一切しなかった。このことがミクロネシア議会で議論され、住民たちに対する補償が具体化されたが、アメリカが被曝した島として認めているのは、ロンゲラップとウトリック、ビキニ、エニウェトクの4島のみ。しかも補償されるのはその中のごく限られた人だけだ。世界各地の社会的弱者のために献身してきたカナダの研究者ロザリー・バーテルはマーシャル、ロンゲラップ島の被曝の実態が、実際には被曝した「非被曝群」と比較することによって、過小評価されていることに警鐘を鳴らした。このやり方は、広島、長崎の被爆者に対するABCC・放射線影響研究所のやり方と共通の手口だ。





« 1000隻を超えるマグロ漁船員の内部被曝 | トップページ | 原爆被爆者の内部被曝 »

日記・コラム・つぶやき」カテゴリの記事

トラックバック


この記事へのトラックバック一覧です: マーシャル諸島住民の内部被曝:

« 1000隻を超えるマグロ漁船員の内部被曝 | トップページ | 原爆被爆者の内部被曝 »