ITによって影響を受けた3つの労働態様の3つ目
3つ目は、長時間過密労働が一層促進されたことである。IT機器を使用する労働は、それ自体が軽負荷であるが故に、休息時間があったとしても、つい「区切りのいいところまで」と休息要求を無視しがちである。従ってITは、そもそも労働が過密になりやすい性質を孕んでいる。そんな職場では、パーティションで区切られた個人ブースでの仕事が多数を占めるから、必然的に集中力も上がる反面、それが一層休息要求を隠蔽せることになった。加えてITの深化がなされた労働は、セキュリティーも保証されているため、自宅においても仕事をすることが可能になり、長時間労働も助長された。自宅では、電車の時刻を気にすることがないため、ついつい就寝間際まで仕事を行いがちになり、その結果、睡眠時間が短くなり、睡眠を介して疲労が回復しにくくなったのである。これは、うつ病患者にソフトウェア会社の社員が多いことがよく知られていることの理由でもある。
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