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2012年10月25日 (木)

がん患者におけるうつ病と見逃し

(1) 有病率 : がんの診断を受けることは、人生における衝撃的なできごとであり、患者は、様々なストレスを受けるため、うつ病を発症することがまれではない。がん患者における部位別、病期別でのうつ病有病率調査研究によると、肺がん切除後1.7~8%、再発乳がん患者7%、切除不能肺がん5%、治療中がん患者6%、終末期12%であった。進行がん患者でのうつ病5~26%にみられることが知られている。 (2) うつ病発症に関連する危険因子 : 危険因子に関する調査では、初期治療時の抑うつ、社会的な支援欠如、痛みなどが関連していると言われている。 (3) がん患者におけるうつ病の見落としについて : がん患者では様々な原因によりうつ病が見逃されている。 ①身体症状と解釈する→がん患者は疾患そのものおよびがん治療により様々な身体症状を呈示する。進行がん患者の調査では、倦怠感84%、活動性低下81%、食欲低下57%、体重減少51%などである。しかし、これらはうつ病ではしばしば認められ、うつ病診断基準にも含まれる症状である。がんの症状とうつ病の症状が重なり合っているために、がんによる症状とみなされてしまうことが多い。実際、がん医療に従事する医師・看護師による評価は客観的な重症度と一致することは低く、重症例(うつ病の)ほど見落としが多い。 ②うつ病に対する知識欠如→患者、家族、医療スタッフも「がんだからうつ状態になるのは当然」とみなしていることも多いので、うつ病が見逃されてしまう原因となる。 ③適切な問診を行っていないこと→患者に対して現在抱えている感情に関して質問することは、患者に対して侵襲的であり、時間を要し、取り扱いが困難と思われているため、質問をちゅうちょする傾向があるが、感情の問題を表現することで患者は感情的に落ち着くことが知られている。いたがって、うつ病の診断をするためにも感情面で患者と話し合うことが望ましいのだ。 ④患者サイドの問題→うつ病に罹患している患者の10%はうつ病であることを自ら否定してしまうので、治療につながらないこともある。



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