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2016年6月30日 (木)

Science 歯周炎、 歯槽骨吸収は如何に引き起こされる ③

高橋直之さんの解説 第3回
2 . 菌体成分認識機構
1) TLR (Toll-like receptor )
 1996年、ショウジョウバエの背・腹軸形成に必須な分子であるTollが、真菌の感染防御にも関わることが発見された。この発見を契機に、TLRシグナル系が同定され、昆虫から哺乳類に共通の微生物認識機構が存在することが判明した。 細菌やウイルスを構成する成分は抗原性分子PAMP(pathogen-associated molecular pattern)と呼ばれる。TLRはPAMPを認識するレセプターである。TLRは、ヒトで10種類、マウスで9種類が同定されている。TLRの細胞外領域は、ほぼ全域がLRR(leucine-rich repeat)により占有し、PAMPはLRRに結合。
 TLR2はペプチドグリカンや細菌由来リポプロテインを認識し、TLR3、TLR4、TLR5、TLR9はそれぞれ2本鎖RNA、リポ多糖(LPS)、flagellin、細菌由来DNAを認識。TLAシグナルを伝達するアダプター分子として、4種類のアダプター分子(MyD88:myeloid differentiation factor88、TIRAP、TRIF、TRAM )が知られるが、骨吸収に関わるアダプター分子はMyD88である。また、TLRの細胞内ドメインは、IL-1レセプター(IL-1R)のそれと類似しているために、Toll/IL-1レセプター相同領域(TIR:Toll/interleukin-1 receptor) ドメインと呼ばれる。そのため、IL-1レセプターもMyD88を利用してシグナルを伝達する。MyD88は転写因子 NF-kB(nuclear factor-kappa B)を活性化して炎症反応を惹起する。ところで、Porphyromonas gingivalisのLPSはTLR4のみならずTLR2にも結合する。
2) NLR (Nod-like receptor)
  TLRは細胞膜に存在し、PAMPを認識する。NLRはNOD(nucleotide oligomerization and binding domain) と呼ばれる自己重合に関わるドメインを持つアダプター分子である。NLRはLRRドメインをもつため、PAMPを認識するレセプター機能も有し、炎症反応のスイッチ分子として働く。NLRは、ヒトではNod1、Nod2をはじめNLRP 3(NLR family pyrin domain-containing 3)、NLRC 4 (NLR family CARD domain-containing 4 ) など約20種類が知られる。破骨細胞形成に関するNod2は、2つのCARD(caspase recruitment domain)ドメイン、1つのNOD ドメインと LRR ドメインを持つ。Nod2はムラミルジペプチド(MDP:muramyl dipeptide)に対する細胞質内レセプターとして機能する。MDPは、グラム陽性菌とグラム陰性菌の持つペプチドグリカンの構成成分である。MDPがNod2はLRRドメインに結合すると、Nod2はNODドメインを介して自己重合し、最終的にNF-kBを活性化する。
 一方、NLRインフラマソームは構成分子にNLRP3やNLRC4を持ち、細菌性分やトキシンに反応してIL-1βの活性化を行う細胞内の炎症誘導装置である。このように、生体は細胞膜と細胞内に菌体成分に対するレセプターを備え、細菌感染に抵抗する。我々は、LPSとMDPを用いて、菌体成分がどのように骨吸収を誘導するかを解析した。





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