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2016年7月 1日 (金)

Science 歯周炎、 歯槽骨吸収は如何に引き起こされる ④

高橋直之さんの解説第4回:
3 . 菌体成分による破骨細胞誘導機構
1) LPSによる破骨細胞の分化と機能誘導作用
 LPSはTLR2/4を介して骨芽細胞に作用するとRANKLの発現とPGE2の産生・分泌を誘導する。分泌された骨芽細胞のRANKLの発現を誘導しOPGの発現を抑制する。IL-1も骨芽細胞のRANKL発現とPGE2の産生・分泌を誘導する。LPSとIL-1によるOPG産生抑制効果は、PGE2合成阻害薬で解除されることより、LPSとIL-1によるOPG産生抑制効果はPGE2をかいすると考えられる。また、活性型ビタミンD3はMyD88欠損マウスより得た骨芽細胞のRANKLの発現を誘導したが、LPSとIL-1はRANKL発現を誘導できなかった。また、RANKLと同様に、IL-1とLPSは破骨細胞に直接作用して骨吸収活性誘導した。IL-1とLPSはMyD88欠損マウス由来の破骨細胞を活性化することはできなかった。以上より、LPSとIL-1による破骨細胞活性化にMyD88シグナルが必須である。
2) MDPによる破骨細胞の分化と機能誘導作用
 MDPは細胞内レセプターNod2を介してNF-kBを活性化する。我々は、骨芽細胞のRANKL発現に対するMDPの作用を検討した。MDP自体はRANKLの発現を誘導しなかったが、LPSとIL-1は、骨芽細胞のNod2の発現を誘導することで、MDP作用を誘導することが判明した。一方、MDPは活性型ビタミンD3が誘導するRANKL発現を促進しなかった。このようにMDPは、炎症誘発因子が誘導する骨吸収を細胞内レセプターNod2介して更に促進可能性が提示された。
3) 歯周炎における骨吸収誘導機構
 以上の知見を基に、歯周炎が骨吸収を誘導する機序を考えてみる。①歯周病原性細菌が歯肉縁下にプラーク形成。②歯周病原性細菌の増勢によって、大量のPAMPが放出される。③PAMPにより、炎症が惹起され、炎症性サイトカイン(IL-1、IL-6、TNF-α)とPGE2の産生・分泌が亢進する。④炎症性サイトカイン、PGE2そしてPAMP自体が骨芽細胞のRANKL発現を誘発する。⑤骨芽細胞のRANKLとともにIL-1とLPSにより破骨細胞の活性化が惹起される。このような経緯を経過して歯槽骨吸収が引き起こされると考えられる。





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