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2016年8月12日 (金)

住民ニーズを汲み上げ、そして、事業化へ

”復興基金の役割”― 中越地震の新潟リポートからコピー・ペー:
 「あれがなかったら、鳥居は崩れたままだった。家と同じくらい、集落の修復も復興には欠かせねぇから」
 新潟県中越地震の震源地から程近い小千谷市若栃地区。山間部の水田でコシヒカリなどを手掛ける農業細金剛(64)さんは言う。地区の祭りや会合に欠かせない。「十二社神社」は地震で大破したが、新潟県の復興基金事業の一つ「地域コミュニティ施設等再建支援」を使って再建された。
 本来、政教分離の原則から、神社などの宗教施設の場合、文化財以外は公金を投入できない。だが、神社の修復に際し、民間人も入る基金の財団理事会は「地域共同体の維持に必要な施設」との解釈で認めた。
 「役所のルールと現場のニーズは乖離することが多い。使い道の最終決定を現場で決められた意義は大きかった」。「新潟県の泉田裕彦知事は、基金の教訓をこう語っている。
 もう一つ、若栃地区で重宝された基金の使途メニューがある。「手づくり田直し支援」と呼ばれる事業だ。
 被災の内の修復には国の補助事業があるが、対象は一定規模1カ所の事業費が40万円以上)に限定。棚田が大半の同地区の場合、小規模が多く、崩れた農地に「手も足も出ず、途方に暮れていた」(細金さん)。「田直し事業」は国の補助から漏れるのうちが対象で、自らの手で田畑や畔などを直すこともでき、事業費の最大75%を補助することで農地の復旧に大きく貢献した。
 実は、このメニューが生まれたきっかけは仮設住宅における被災農家との座談会だった。行政に加え、ボランティアが相談に乗り、被災者の声を汲み上げた成果だ。
 新潟県の集落再生支援チームだった丸山由明・新潟県民生活環境部長は「被災者と接する市町村職員やボランティアにとっても聞きっ放しでなく、施策に結び付く基金という武器を持てた」と”効用”を語る。
 新潟県によると、2005年の基金創設後に造られた事業は約130。10年間で、約645億円使われた。その内容は、仮設住宅での見守りや集会施設修繕といった地域コミュニティーの支援が約3割と最多。利子補給などの住宅支援が約2割、田直しなど農林水産が1割強と続く。熊本でも課題となっている歴史的建造物の修復や伝統文化事業にも充てられた。
 ただ、基金は機動性がある一方、使途のチェックが甘くなりやすい。新潟県でも申請と異なる利用があったが、新潟県震災復興支援課は「申請窓口である市町村のチェックもあり、大きく外れたものはなかった」という。
 その後つくられた東日本大震災の復興基金は、低金利の影響で取り崩し型となり、被災6県に3千億円が予算措置された。熊本地震でも、政府は第1弾として510億円を想定して、取り崩し型を前提に熊本県が検討に入っている。
 「時間とともに変化する被災者ニーズや復興熟度に応じて柔軟に事業化できたのが最大の利点。地方分権の使い方ができた」。基金の意味合いを語る新潟県の職員は続ける。「地震には一つ一つ個性がある。是非熊本らしい活用モデルを作って欲しい」





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