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2016年8月30日 (火)

”水銀回収”―――恒久対策へ技術検討急務

石貫謹也(熊日)さんのレポート:コピー・ペー。
 不知火海を見渡せる山の上にある、水俣市の国立水俣病総合研究センター(国水研)。海底の汚泥や土壌の中から水銀を回収する実験プラントは、建物の裏手にあった。もう何年も使われていないといい、到る所にクモの巣が張っていた。
 汚泥などからの水銀回収は、水俣市の水俣湾埋め立て地の危険性を直接取り除く「恒久対策」と言われる。しかし、埋め立て地を管理する県は水銀回収でなく、既存の護岸をいかに長持ちさせるかに力点を置いていた。
 水俣病3次訴訟に原告代理人として関わったほか、産業廃棄物問題に詳しい森徳和弁護士は「水銀回収の議論を今始めなければならない」と危ぶむ。護岸の寿命が近づいてから水俣湾埋め立て地に応用できる技術の検討を始めても、遅すぎるからだ。
 「水銀回収は、もうかるテレビやスマートフォンとは違う。企業による技術革新は、そう簡単に進まない」と森弁護士は言う。研究機関が地道な研究を積み上げるしかないと指摘し、適任の研究機関として国水研を挙げる。
 国水研が大手ゼネコン―大成建設(東京)と組み、実験プラントで汚泥や土壌から回収する研究に取り組んだのは2003~08年。それまでも、加熱によって蒸発した汚泥や土壌の中の水銀を冷却して、金属水銀化する手法は知られていた。しかし、800℃で熱した土はれんが状になり、環境復元に適さなかった。これに対し、国水研はなどは、特殊な添加剤を使い、300℃で蒸発させることに成功。国際特許も取得したという。
 しかし、この研究が水俣湾埋め立て地での応用に結び付くことはなかった。国水研は「応用するかどうか決めるのは、あくまで行政。我々のような研究機関が先導することはできない」と立場の違いを説明する。
 一方、熊本学園大水俣学研究センターの中地重晴教授(環境化学)は水銀回収の試案と、その実現にかかる総費用をはじき出し、県に検討するよう訴えている。
 試案では、埋め立て地の汚泥に洗浄か加熱の処理を施し、水銀によって高濃度に汚染された汚泥とそうでない汚泥に分離。汚染された汚泥は、水銀を含む廃棄物のリサイクル技術を持つ野村興産イトムカ鉱業所(北海道)に運び、加熱と冷却を経て金属水銀にし、永久保管する。
 永久保管にかかる費用も含め、はじき出した総費用は600億~750億円だ。中地教授は「埋め立て地護岸の維持管理を延々と続けていくより、費用は安いかもしれない」とした上で、こう強調する。「普通の港湾施設なら朽ち果てても自然海岸に戻るだけだが、水俣湾埋め立て地はそうはいかない。恒久対策の先送りは次世代へのツケ回しにしかならない」





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