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2016年9月19日 (月)

歯科が行う周術期口腔機能管理の基本的な考え方 ④

続き:
< 周術期の特徴2 >
口腔内から気道に気管内チューブが挿入されている ( 経口挿管の場合 )、酸素マスクを装着することが多い
 前述のように手術に際しては、多くの場合口腔から気管内チューブが挿管され手術中の呼吸管理が行われる。これは手術終了とともに抜管されることが多いが、終了後もICUにおいて長期間留置されて、人工呼吸が実施されることも少なくない。これらの経口挿管をされている期間は適切な呼吸管理が必要であることから、筋弛緩剤や鎮静剤等の薬剤の持続投与がなされ、それに伴い口腔や頸部の運動や嚥下に伴う正常な筋肉の運動は抑制されている。すなわち人工的に嚥下障害を起こしていると考えて良い。またバイトブロックなどで開口を保持した状態となっているため、常に口腔内が乾燥が起こっている。
 当院にて呼吸管理状態と細菌数を調べたところ、ICUなどで気管内挿管を行い、人工呼吸器による呼吸管理を行っているグループの細菌数が最も多く、それに気管切開、酸素マスク装着グループが続いた。健常人と比較して人工呼吸管理をされている患者では細菌数は10倍以上となり、酸素マスク装着患者でも数倍の細菌数を示した。
< 周術期の特徴3 >
絶食の期間がある
 菊谷らの報告にもあるように、食事による細菌数の減少が知られているが、当院の検討でも経口から食事を摂取し、食後に測定した口腔内の細菌数は食事前に比べて、各半分に減少した。
 入院患者における栄養管理方法と細菌数の関係を調べた結果、経管栄養、胃瘻、中心静脈栄養などを実施し経口摂取は行っていないグループでは、食事を摂っているグループよりも 4倍ほど口腔内の細菌数は多いことが分かった。このことは「口から食事をとる」ことは細菌のコントロールであり、継続的に食事がとれない時期には集中的に口腔内のケア、管理を行うことが重要であることを示唆している。
< 周術期の特徴4 >
主病名の治療が優先され、口の中のことは後回しにされる
 周術期の患者が入院すると、担当医や病棟看護師などの医療従事者の関心は手術が必要な主病名の疾患に向けられ、口腔内のケアやサポートに関してはなおざりされることも多いと思われる。
 しかし、先に述べたように口腔環境の急激な変化が生じるこの期間を歯科臨床医が歯科治療を通して、うまく啓発、サポートし、情報提供により支持療法チームとして連携することが重要なポイントあると考えられる。
 





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