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2016年10月11日 (火)

Clinical ~超高齢社会における選択~ ②

続き:
1 .  高齢化の波が診療室に押し寄せてくる
  最近、多系統萎縮症の患者さんが奥さんに連れられて足を不安に引きずりながら来院された。多系統萎縮症とは代表的な神経変性疾患の一種で進行性の小脳症状をしばしば呈することから、脊髄小脳変性症の1型と分類。初診時とても緊張した面持ちでチェアーに座っておられた。そこには死を意識した緊迫感が漂っていた。来院理由は通院できるうちに最後の力を振り絞って歯科治療を受け、在宅医療の基盤を作りたいというものだった。その姿勢に胸が熱くなった。このアクションをアドバイスし、支えてくれているのがケアマネージャーであることも伺った。明らかに、現在、時代が変わったと感じた。歯科診療室が生涯にわたる口腔保健の一つの通過点であることを示唆している事例だと思う。後で、この方のことを、紹介する。―― 超高齢社会の中で診療室に起こり得る様々な事態に対して心の準備ができているかという一つの問題提起である。
  歯科医療技術の向上と国民の口腔保健に対する関心の高まりによって、8020達成者は推計値38%をオーバーした。平成20年代に入り、驚くほど残存歯数は伸長し、あと10年以内に8020達成者が50%を超える勢いだ。平均寿命の伸展によって、健康長寿の方が増える一方、病気と障害を持ち、易感染性の高齢者の急増が新たな社会問題として浮上してくる。このことは、難しい条件、環境下で歯と口腔を管理していかなければならない時代に突入したと認識していい、こんな時代だからこそ、高齢者に特化した歯周治療を学問として確立する必要がある。歯と口腔の専門職として近未来をどのように展開し、対策をとらなければならないか、歯科界全体として、また一クリニックとして、迫り来る高齢化の大波を如何に安全・安心に患者さんと共に乗り越えるか、真剣な議論が待たれるところである。
2 .  真の歯周治療のゴールとは

  歯周治療の究極のゴールはたとえどのような環境下にあっても、歯周病を再発させないようにセルフケアとプロフェッショナルケアの両面から歯周病をコントロールしていくことである。つまりメインテナンスケアあるいはSPT (Supportive Periodontal Therapy )は診療室で終わるわけではなく、在宅において療養を受ける状況になっても、継続してコントロールされて初めてゴールを勝ち取れる。これは理想論のように思えるが、メインテナンスを診療の柱にしている診療室ではその理念を完結する為に忘れてならない大切な事項。

  例えば長期に亘ってメインテナンスで通院している方が突然入院し、その後、在宅医療を受けられる機会も増えてくるであろう。そんな時に診療室の中にこのような方々を支えるシステムをもっているかが問われている。ゆえに歯周治療に携わる歯科医師、歯科衛生士は、患者さんの人生と近未来を考えて、積極的に多職種連携に加わる必要がおおいにある。患者さんを取り巻く環境が変わっても、可能な限り診療室と同じ姿勢で関わることができれば歯周疾患の再発リスクが著しく減少する。なにより信頼関係の確立した歯科医師、歯科衛生士が関わることができれば患者さんは何より安心である。




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