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2016年10月19日 (水)

近未来の歯科臨床は ①

「内の目 外の目」―第166回: 吉田昊哲(東京歯科大学小児歯科学講座非常勤講師)さんの文より コピー・ペー:
◎小児歯科、いまや新患の主訴はそのほとんどが「う蝕予防」
 子どものむし歯の激減が語られてから久しいが、近頃小児歯科単科標榜の当院における初診患者の主訴はそのほとんどが「むし歯予防」であり、さらには「歯列(歯の並び方)の状況について詳細な説明をしてほしい」との要求である。つまり集約すれば母親の望みはむし歯のない健全な口腔機能の育成と恒久的な健全歯列の獲得にある。こうして育てられた子ども達が我々に求めるものは何になるのだろうか?
 すなわち、10年、20年後の一般歯科臨床像としては子どもが成人し、治療を主体としない口腔管理を求める世界がすぐそこに迫っていることを意味しているはずである。この10年、20年は極々近未来である。
 先日、歯科衛生士向けう蝕予防シリーズ編のナビゲーター役を引き受けたが、その表題の『根拠に基づく小児う蝕予防・最前線』にあるように研究者4名を招待し、最新の研究から分かるう蝕予防の根拠について、歯科衛生士の方々にもすぐに理解できるようにと、難しい研究を噛み砕いて語っていただいた。その後同誌購読者の誌評アンケートを分析すると、本シリーズの圧倒的な好評数に編集者からは即座に「書籍化してください」と話が進んでいる。それほど歯科衛生士が主役の世界ではう蝕の原因追及に目が向けられているということではないだろうか。
 歯科疾患はなにもう蝕ばかりでは無い。しかし、自論ではあるが、こうした傾向を鑑みると近未来の一般歯科臨床像は「う蝕を中心とした疾病予防」「歯列をふくめた先天的な要因への対応」それに「アクシデントへの対処」、この3項目に絞られ、決して疾病対応の技術手腕が求められる時代ではなくなって来ていることを意味していると著者(吉田)は思う。
◎原因追及の無かった歯科の世界
 親しくお付き合いをさせていただいている長崎大学の小児歯科学講座主任教授藤原卓先生とお話ししていて、我々が教わってきた臨床、そのほとんどが疾病対応の「処置」そのものであり、原因追及があまりにもなおざりにされてきたことに改めて気付いた次第である。ミュータンス菌を原因菌とする「う蝕」。藤原教授曰く、穀物を主食とする民族はう蝕からは逃げられない運命にあるそうで、「糖の知識」は必須であると彼は力説する。炭水化物の摂取はエネルギー源そのものであると考えれば、う蝕の原因追及は歯科医師の命題だと思う。
 そしてまた一方、現在の12歳児の20%近くはミュ―タンス菌フリーだそうである。「感染の窓」、すなわち生後19か月~31か月、この時期にミュータンス菌が感染し、口腔内の細菌分布(マイクロフローラ)が決定してしまうそうである。口移し、あるいは同じ食器を使わないように制した風潮と早くからの健診、継続的で日常的なフッ素の応用など、予防意識が早い時期から培われることが大きな成果を生み出しているのは明白である。
 う蝕を主訴とした初診患者も治療が完了し、その痛い思いを教訓にう蝕の再発をなくすことを根本から望む親たちは多く、この時期に子どもにとっての生涯の健康志向が培われる。
 



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