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2016年12月 5日 (月)

Clinical 高齢・要介護患者→全身管理(訪問歯科診療から) ⑥

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3) 呼吸
 分時回数を測定。正常値は、12~15回/分である。酸素飽和度の値と照らし合わせながら、およその1回換気量や胸郭の動き、呼吸運動のパターンなどを観察する。呼吸困難感があると、必要な換気量を得るために補助呼吸筋も動員して呼吸をする努力呼吸になる。この場合、呼吸数は増加するが、酸素飽和度は低下する。
4) 体温
 肺炎などの感染症や脱水などで上昇する。正常値は、36+0.5℃~36-0.5℃。体温の上昇と脈拍数との関係から細菌感染の可能性を推測できる。体温が1℃上昇するごとに脈拍数が毎分20以上増加する場合、細菌性感染症の可能性が高い(デルタ心拍20のルール。)
5) 体重
 治療前に確認し、日々の体重変化を追跡することで、食欲不振や低栄養状態などを評価できる。
6) 意識
 高齢者は、比較的軽度の病状変化や薬剤の効果などによって、意識障害を起こす可能性が高い。意識レベルや認知レベルも確認し、記録しておく。Japan coma scale (JCS)とか「I-0」とか「Ⅱ-20」とか「Ⅲ-300」とか表現されることが多いが、正しくは「JCS 0」とか「JCS 20」とか「JCS 300」と表現。
7) 眼瞼結膜
 貧血の有無を確認。
8) 運動神経
 閉眼や口唇の動きを観察し、顔面神経麻痺の状態を確認しておく。眼球の動きや舌の動きも確認。また、頸部や四肢の運動障害の有無も確認する。
9) 感覚神経
 視覚、聴覚、臭覚などの感覚神経も状態を確認しておく。
10) 摂食嚥下機能
 様々な方法があるが、反復唾液嚥下テストが最も簡単に応用できる。
11) 姿勢、体位
 普段の姿勢や体位を確認しておく。脊髄損傷など自律神経反射から十分に働かない場合、仰臥位から急に座位にすると、血圧が急激に下がるので注意が必要。
12) 尿量
 尿の1日の回数や尿量、また尿の色を確認しておく。尿量正常値は、0.5~1.0ml/kg/時である。
13) 心不全の所見
 慢性化した心不全から、急激に悪化する場合も考えられる。治療前に、心機能のチェックする。咳、呼吸困難感、浮腫などの有無の観察。疋・背などの皮膚を手指で5秒間圧迫し、圧痕が残れば浮腫が生じていること。心不全では、うっ血による所見と末梢循環不全による所見が見られる。手指の冷感と浸潤状態から判断する簡便な評価法に Nohria-Stevenson 分類がある。冷感が強い場合は末梢循環不全の徴候有とし、手指の浸潤が強ければうっ血状態の徴候有と判断する。急性心不全に適応されているフォレスターの重症度分類に当てはめると、手指の冷感、浸潤状態ともに無しが1度、浸潤のみが2度、冷感のみが3度、両者有が4度で最重症とすることができる。
 





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