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2016年12月23日 (金)

がん治療薬投与に新手法細胞近くで効果的放出

鹿本成人(熊日)さんのレポート― 2015/03/11、熊日:医療Q Qよりコピー・ペーする
 2011年に設立された崇城大「DDS研究所」は、治療薬を患部に集中させて効果を高める「ドラッグデリバリーシステム(DDS)」の研究に取り組んでいる。同研究所の前田浩特任教授は、がん細胞の特性を利用して、これまでより高濃度で、治療薬を送り込む新たな技術を開発した。マウスやラッドの実験で良好な結果を得ている。
 前田特任教授によると、がん細胞内にできる血管は「欠陥だらけ」と云う。「体内の通常血管の壁は、ち密に 出来ていて、血管内の大きな分子(高分子)は通り抜けられない。ところが、がん細胞内の血管壁は大きな隙間が多く、周囲の細胞へと高分子が漏れ出す」
 これは「EFR効果」と呼ばれ、高分子の抗がん剤を投与すると、がん患部に薬剤を集めることができる。前田特任教授が開発した1993年に世界初の高分子型抗がん剤として承認された「スマンクス」も、EFR効果を生かしたものだ。ただ、スマンクスは投与に高い技術が求められるなど改良すべき点もあるという。
 このため前田特任教授が取り組んだのがEFR効果に加えて、がん細胞の近くで効果的に薬剤を放出させる仕組みだ。「がん細胞の近くは、正常細胞に比べて酸性度が高い。酸性度が高いことを利用して、薬剤の運び役の高分子『HFMA』から、薬剤である『THP』を切り離す仕組みを開発した」
 HFMAから切り離されたTHPは、がん細胞の表面に特有な構造を利用して内部に入り込む。THPは、がん細胞の中でDNAを切断して死滅させ、治療するという。
 マウスとラッドの実験の結果、THPを単体で投与した場合に比べて、がん細胞付近のTHP濃度を数十倍に高めることに成功した。心臓や肺など正常な臓器での濃度はごく低く抑えられたという。延命効果を確かめたほか、がんが消失するケースもあった。
 前田特任教授は、別タイプのDDS薬も開発した。光に反応して抗がん作用を高める薬剤「ZnPP」をHFMAに結合させて運ぶ仕組みで、がん細胞の近くの高酸性度を利用してZnPPを分離している。その後、がん細胞内に取り込まれたZnPPに内視鏡で光を当てると、活性酸素を放出して、がん細胞を殺す。
 この方式では、ZnPPが集まるがん細胞だけを発光させることもでき、発光する様子を確認しながら光を当てて治療できる。「発光させるとがん細胞を見分けやすくなり、的確な治療ができる」と前田特任教授。
 今回開発した二つの薬剤は、心臓や肝臓など正常な臓器には薬剤を殆ど送り込まない上、がん近くに、長時間留まるのが特徴である。通常の静脈注射で投与でき、使い易いという。
 前田特任教授は「薬剤を集中させると副作用は軽く、薬剤が長時間滞留することで投与間隔が長くできるメリットがある。実用化へ向けて研究を進めたい」と話している。
                THP : がん治療薬剤
                HFMA ; 薬剤を運ぶ高分子




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