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2016年12月12日 (月)

Science アスパラギン酸ラセミ化法による年齢推定 ②

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 下顎切歯の咬耗度を応用した天野の分類
表示度   咬耗度分類程度                            推定年齢          

   0              エナメル質に咬耗がみられないもの                               15~20歳
   1              エナメル質に平坦な咬耗箇所がみられるもの         21~30歳
   2              点状または糸状に象牙質がみられるもの            31~40歳
   3              象牙質の幅、面積を有するもの                  41~50歳
   4              咬頭、切端が極度に消滅したもの                51歳以上
(3)歯肉の退縮程度の年齢推定
    歯肉は1年に 0.1mm 退縮していくといわれている。
(4)X線写真からの年齢推定
  歯槽骨の量や質、下顎角の角度、歯髄腔の大きさ(体積) からも年齢推定が可能にな  
  る。
2) 分析学的年齢推定
  アミノ酸ラセミ化反応を利用した年齢推定法などがある。
2. アミノ酸ラセミ化法
1) ラセミ化反応とは
 アミノ酸は鏡像の関係にある2種の異性体をもち、立体的な配置状態によってL型とD型に分けられている。一般に生体組織中の各種アミノ酸は、L型を示しているが各種の要因によりD型に変化する。この現象をラセミ化反応という。
2) 影響する因子
 ラセミ化反応は化学反応であるため、環境、特に温度変化を強く受け、長い年月の間では水分(湿度)、pHおよびイオン強度などにも左右される(温度>湿度>pH)。
3) D型の蓄積
 アミノ酸は代謝の緩慢な組織である歯、目の水晶体、脳の一部などではL型からD型に変換され、D型が次第に増加してくる。
4) 年齢推定に用いるアミノ酸
 正確な年齢を求めるには、ラセミ化反応速度が速く、D/L比と年齢との相関係数(r)の高いアスパラギン酸が最も有効。
5) 歯からのアスパラギン酸の抽出と分析
 象牙質アミノ酸の検出にはまず試料の前処理(縦断切片作製→象牙質のみ分離→洗浄→粉末化→加水分解)を行い、次にガスクロマトグラフィーによりアミノ酸のD型とL型を分離しチャート上の面積比からD/L比を算出。
6) 年齢推定
 抜歯時の年齢が既知の歯を用い、分析後、縦軸にD/L比、横軸に抜歯時の年齢の検量線を作り分析値をプロットし得られた直線を年齢算出式とする。この検量線は、誤差範囲を小さくするために、検査ごとに被検査歯と同じ条件で作ることが必要である。
 年齢推定を行う死体から歯を抜去し同様に処理、D/L比を求め、年齢推定式に代入し推定年齢を算出する。
7) 歯種による違い
 下顎の中切歯あるいは側切歯を用いると推定値に誤差が少ない。
8) 歯の部位による違い
 エナメル質、象牙質、セメント質のD/L比と年齢の相関を比較すると、象牙質>セメント質>エナメル質の順である。
 

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