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2016年12月 9日 (金)

Science DNA分析による身元特定と犯罪捜査 ③

続き:
4) 核DNA常染色体以外のDNA
(1) 核DNA性染色体DNA
  Y染色体は男性のみが持つDNAであり、性犯罪において男女のDNAが混合している資料から男性の特定、父子鑑定、同じ父親を持つ兄弟鑑定に有効である。
  核DNA Y染色体STR(YSTR)は16ローカスを一度に検出・判定可能なY filer(商品名:Yファイラー)で分析している。
  鑑定での役割は、犯罪捜査では性犯罪における異同識別だ。検出されたハプロタイプ(対立遺伝子のいずれか一方の遺伝多岐な構成。つまり、男性の性染色体はXYなのでX染色体のハプロタイプとY染色体のハプロタイプがある。片親に由来する遺伝子の組合わせを指す)が一致した場合、データベースを参考にその型の出現率から同一人に由来する確率を算出する、血縁関係では父系を確認するために用いられている。
(2) ミトコンドリアDNA (mtDNA
  mtDNAは核DNAとは全く異なるDNAで、細胞内小器官であるミトコンドリア内に存在し、母親から子供にのみ遺伝する独自の母性遺伝形式をとるDNAだ。細胞内に数千個存在するため PCR による増幅効果が細胞に1個のみの核DNAに比べ格段に高いこと、さらに個人間で塩基配列の違う領域、いわゆる多型性の高い(ハイパーバリアブル:HV)領域を数種類持っていることが注目されている。特に、増幅効率の高さは微量の現場資料に対して 有効であるが、増幅効率の高さはいわば”両刃の剣”で微量資料由来のDNAも増幅する一方、混在した他のDNAも容易に増幅してしまうため、鑑識署員や我々研究者のmtDNAを増幅する危険性を含んでいる。そのため資料の取り扱いに注意が必要であることはもちろん、実験室・機材など専用のものを用意する必要が有。
  警察組織で使うDNAシステムは全国で同一の精度で行われることを前提にして、mtDNA分析は行うために使用する環境が整わない等の理由で、現在科警研と一部の科捜研(研究段階)以外の科捜研では行われておらず、全国的な採用までにはまだ時間を要する。
  分析はHV 1領域を増幅、塩基置換の数で型とする。つまり16223T-16362Cの2塩基置換型とは、16223番目の塩基が基準配列Cであるのが資料ではTであったため16223Tと表記、同様に16362塩基では基準配列Tが資料ではCに置換していたため16362C、2つの塩基で置換しているため2塩基置換型である。
  鑑定での役割は、犯罪捜査では超微量資料の異同識別である。検出された型が一致した場合、データベースを参考にその型の出現率から同一人に由来する確率を算出する。血縁関係では母系を確認するために用いられている。




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