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2016年12月 8日 (木)

Science DNA分析による身元特定と犯罪捜査 ②

続き:
1. DNA鑑定のあゆみ
1) DNA分析の変遷
 法医学におけるDNA分析の黎明は、英国の人類遺伝学者である Jeflies が「Nature」に発表したDNA fingerprint である。ヒトDNAの特定部分には指紋と同程度の多様性が検出できる塩基配列があり、それを検出すれば万人不同の指紋同様、100人で100通りの”DNA型”が検出される「DNA fingerprint」と紹介された。
 分析は、当初DNAを制限酵素で分解、電気泳動で検出するサザンブロッティング法を用いたが、現在は法医学の資料の微量・腐敗の特徴に合わせるように、サザンブロッティング法からPCR法へと移行した。
 プレートで指示体にアガロースゲルやポリアクリルアミドゲルを用いる方法から、細管(キャピラリー)を用い、泳動用のポリマーの充填から泳動まですべてCT制御すること(電気泳動法)に移行したことでプレートを用いた泳動では困難であった泳動条件の管理が容易となり、泳動結果のバンドの位置のズレが生じなくなるなど、法医鑑定に不可欠な型判定の再現性が著しく向上した。さらに型判定も判定する資料DNAと同時に泳動するアクリックラダーDNA(サイズが分かっているDNAの混合体。50・100・150など階段状に検出される。同時に泳動する検体のサイズを特定する目安)を指標に”目視”で行う判定から、CTソフトによる自動判定になり、客観性も著しく向上した。(表3― 略)
 検出するローカス(染色体DNA上で遺伝子のある場所を表す。数字(染色体番号)や英文字(場所)で示す)は、常染色体の繰り返し配列の場合、短い断片で検出可能なシステムが開発され、より微量なDNAでも分析可能となった。ミトコンドリアDNAと増幅対象のDNAも多様化している。(表4― 略)
2) サザンブロッティング法
 高分子DNAを制限酵素で切断し分析可能なDNA断片にし、電気泳動で分画、検出する方法。
 検出されるバンドはメンデル遺伝にしたがうため親子鑑定に、またバンドパターンが完全に一致することで複数の資料の異同識別、いわゆるバラバラ死体の部分死体の同一人性の鑑別などに有効である。
3) PCR 法
 ほとんどが微量・腐敗している法医学資料に対して、微量のDNA断片を選択的に増幅するPCR法は、極めて適した分析法。
当初、ABO式血液型の遺伝子型判定などに用いられたていたが、個人に特徴的な繰り返し配列が解明されるに伴い、PCR法で繰り返し配列領域を増幅し、電気泳動後バンドとして確認、判定する方法が主流になってきた。
(1) MCT118型
  PCR法が法医学に応用され、最初に注目されたローカスが第一染色体のDIS80 MCT118型であった。大学ではなく、科学警察研究所(科警研)を中心に日本人集団における遺伝子調査が進められ、都道府県の警察に付属する科学捜査研究所(科捜研)でもMCT118型を用いたDNA鑑定が行われ始めた。MCT118型が普及した理由は、日本中どこの科捜研で分析しても、同じ資料から同じ型判定ができ結果の再現性が可能だということ。科警研主導のDNA鑑定の流れは現在も続いている。
(2) 自動解析装置とSTR
  2003年に都道府県の科捜研に同一の機種(PC制御のキャピラリー電気泳動装置・解析用PC・同ソフト)・同一の試薬(STR分析キット)を用いる「自動解析装置」が配備された。このシステムは検出技術の簡略化と、特にヒトの主観が入らない、きわめて客観的な型判定を可能にしたことで、従来のDNA鑑定の問題点を克服し、DNA鑑定は一応の完成を迎えることになる。
  さらに、2006年の一回の検査で常染色体STR15ローカスが判定可能なキット(商品名:アイデンティファイラー)が導入され、鑑別力がさらに向上。
  検出するローカスはSTR(Short Tandem Repeat :2~6塩基を単位とした繰り返し配列)を検出する方法で、MCT118法以上に断片化した資料の分析を可能にする方法。さらにそのローカスを複数同時にデザインされたキットは、確率的に異同識別において、一致した場合には地球上で同一のものが存在しないといえるほどの数字(4兆7千億人に1人)を出すことを可能にした。
  STRは現在の科捜研の主流の検査法であり、DNA鑑定の結果として報道されているのはSTRの結果である。
  鑑定は、犯罪捜査の現場資料と被疑者の異同識別や身元確定の血縁関係の証明等に広く用いておる。





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