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2017年1月 1日 (日)

殺菌作用のある精油は我々には毒か? ①

「人間と科学」第271回の著者 吉岡亨(早稲田大学名誉教授)さんの文 コピー・ペー
 大昔、人類がまだ穀物に巡り合わなかった頃は人々は鳥獣の肉を食糧として生活していた。当時の人々はもちろん冷蔵庫などはないから、如何にそれを保存するか苦心惨憺の結果、ある香りのする葉っぱに肉を包んでおくと保存可能であると見い出したのでないかと思われる。時代が下がって穀物を食するようになってくると、我が国では笹や桜の葉に餅などを包んで保存期間を長くすることが多くなり、現在でも見かけられる。食品保存は、西洋の発想では低温で腐敗細菌の増殖を防止するというものであり、我が国では精油を用いた腐敗細菌の香りによる滅菌作用を利用して食物を保存するということになる。
 前者の考えは細菌の増殖を低温で防止することを狙ったものであるが、後者は直接に細菌を攻撃して除去する方法で、そのメカニズムはこれまでの研究で種々の精油で明らかにされてきた。1970年代にはローズマリー精油による細菌の成長阻害作用をはじめ幾多の抗菌作用が論文として発表され、精油の細菌に対する作用が明らかとなった。これらを基にして精油による健康増進作用が注目を集めるようになり、やがてそれらは集約されてアロマテラピーという体系となり、次第に社会に定着するようになった。しかし、精油のもつ抗菌作用は時として拡大解釈され、我々の体を構成する細胞まで悪い影響があるのではないかと考える人々も出てきた。そこで、今回は精油がどのようにして細菌の増殖を阻害しているかを考えてみようと思う。
 細菌にはよく知られているようにグラム陽性菌とグラム陰性菌がある。細胞の外側は、グラム陽性菌の場合は二糖類からできたペプチドグリカンの多重層で覆われているので、外側からの精油の働きかけは内部には及びにくい。他方、グラム陰性菌は防御用ペプチドグリカンはわずか一層しかないので、精油の攻撃に対してそれほど強くはない。





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