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2017年1月29日 (日)

安部政治の「嘘」をファクトチェックする ②

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 ここで、デジタル・アーカイブを使って、「強行採決」についてファクトチェックを行ってみた。その結果、先に示した安倍氏の発言部分が、その後の報道で繰り返し使われていたことがわかった。当日のテレビ朝日「報道ステーション」を皮切りに、11月19日のNHK「ニュースウオッチ9」、テレビ朝日「報道ステーション」、21日TBS「ひるおび!」、22日TBS「あさチャン!サタデ!」、23日TBS「時事放談」、27日NHK「ニュースウオッチ9」、同日テレビ東京「ワールドビジネスサテライト」、そして11月1日のNHK「シブ5時」など。しかし、どの放送局も首相発言に隠されたレトリックを問題にしなかった。
 新聞では、毎日だけが見出しに「強行採決」と書いた。「TPP 与党が強行(……)採決(…… )」。朝日は「TPP法案 採決(……)強行(……)」、東京は「TPP 採決(……)を(……)強行(……)」と微妙なズラシを行った。読売、日経、産経には「強行」の二字もなかった。こうしてみると、ファクトチェックは政権に対してよりも、まずメディアを対象に行わなければならない。
 トランプ・ショックに便乗する選挙期間中からトランプ氏はTPPから離脱すると公言していた。しかし、日本は踵を接するようにTPP法案を可決した。さて、アメリカとの問い合わせをどうとるか。政府部内では鳩首協議を行い、トランプ・ショックへの対策を練ったはずだ。もともとTPPはアメリカ主導で進められ、日本がそれに乗る形で進められてきた。自民党は、政権を奪取してから(つまり、農業分野を圧縮してまでも)アメリカ追従をやってきた。加えて、TPPには中国包囲網の意味合いもあった。そこで、アメリカが保護主義に走っても得はないことを、当のトランプ氏にやんわりと理解させよう。「ネコに鈴」作戦である。いち早くトランプ氏との面会にとりつけた安倍首相は、これが外交力というものだと胸をはってみせた。そして、リオ五輪閉会式のスーパーマリオのように、トランプタワーの最上階に躍り出てみせた。このパフォーマンスにメディアの多くが自制心を失い、安倍応援団に傾くように見えた。
 この機に乗じて、安倍首相は宿願の成長戦略と安保政策を一気に解決できないかと考えたに違いない。トランプ氏の選挙戦略は、経済のグローバル化の果てに下流に落ちた白人中流層の不満を吸収し、民主党のサンダースの支持者まで取り込むことであった。だから、トランプ氏はグローバル化のシンボルであるTPPを否定し、保護主義や排外主義に舵を切ろうとした。他方、安倍政権はグローバル経済を否定せず、国内向けには貧困対策を行いながら、対外的には暴走するトランプ氏の善導役を演じようとした。
 だから、会談の内容を記者団に尋ねられても答えはなかった。ただの雑談であった。こうして、二人のデマゴーグ(扇動政治家)が、太平洋を挟んで闇の政治を行っている。さて、どちらに軍配が挙げるか。日ならずして答えが出た。安倍首相のその場かぎりのパフォーマンスは、トランプ氏の「真っ赤な嘘」にはまるで歯が立たなかったのだ。
 道半ばは、問題の先送り、行き止まり 安倍首相は、ペルーで行われたAPEC首脳会議の次の訪問国アルゼンチンで、「TPPは米国抜きでは意味がない。……根本的な利益のバランスが崩れてしまう」とトランプ氏をけん制してみせた。しかし、その1時間後、トランプ氏は自身の動画メッセージで、「大統領就任直後に、TPPを離脱する」と断言したのだ。政府は、この事態を「道半ば」として、根気よく説得をしていくとしている。
 




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