« Topics これからの日本―社会保障制度を考える私見 ⑦ | トップページ | Topicsこれからの日本―社会保障制度を考える私見 ⑨ »

2017年1月18日 (水)

Topics これからの日本―社会保障制度を考える私見 ⑧

続き:
2) 社会保障制度が整備された経緯
 日本経済が戦後以来発展してきたのは、農業中心の経済構造から都市部に人が集まり、第二次、第三次の産業構造にシフトしてきた経過がある。そこに、社会保険制度が整備され、地方に親を置いてきても直接的な私的扶養を行う必要がなくなったことも貢献している。
 内閣府試算に、過去の制度がなかった時代に、その世代は負担をせず、楽をしてきたという主旨の記述がある。比較的制度の歴史が短い介護保険について、「介護保険では制度創設が2000年なので現在の高齢者は、現役時代に保険料を負担することが無かった」とあるが、そもそも、介護保険における給付は、要介護状態になってサービスを受けている人だけのものなのだろうか。そのサービスを受けた人が得をしたと思えるのだろうか。当人にとっての本当の意味での得は、いつまでも元気でいられることである。若い世代はもし親が介護状態になれば、仕事を辞めて私的に介護しないといけない。それが、介護サービスによって、仕事を辞めなくても乗り越えられる。仕事を継続的にできることで、社会全体としても経済効率が高まっている。
 過去は、今に比べると社会保険の負担は低かった。しかし、1970年代を振り返ると、確かに当時は経済成長が有って豊かにみえるが、まだまだ、経済力として未熟な部分が多く、貧しさの指標ともいえるエンゲル係数(家計に占める飲食費の割合)も高かった。社会保険料負担は、可処分所得や基礎的消費以外の負担能力も考慮する必要がある。
3) 世代間の給付と負担の差の本質的問題
 社会保険制度の世代間の差は本当に問題を生じるものなのか。公平、不公平を考えるためには、単に制度内の負担と給付だけでなく、他の様々なことを考えなければならない。交通網や生活インフラ等の社会資本は今の世代が恩恵を受けている。子育て世代が恩恵を得るサービスはやはり、以前よりも充実している。今後、親世代から受ける相続資産等も受け取る1人当たりの額は大きくなっている。
 現在、この国で起こっている最も本質的な問題は、社会保障の給付をはじめとした国民に提供しているサービス全体に見合った税負担ができていないこと。結果として、公債(財政赤字)が大幅に増えている。これを是正するためには、社会保障・税一体改革で盛り込まれたとおり、消費税を10%に引き上げる必要有り。そして、10%がゴールではなく、その先のどのような対応が必要かを検討していかなければならない。
 我が国の高齢化のスピードは世界最速で進んでいる。それに対して、現行の仕組みにおいてもすでにいくつかの対策を講じており、今の制度に盛り込まれている年金給付の削減方針も賃金・物価が延びる中で相当程度の調整を行う仕組みになっている(2000年改正における既裁定物価スライド、2004年改正におけるマクロ経済スライド)。一方、若者世代の負担を軽減する観点で、税の投入が検討されることもあるが、その税負担は、主に生産活動を行っている若者世代が中心であり大きな違いにならない。




« Topics これからの日本―社会保障制度を考える私見 ⑦ | トップページ | Topicsこれからの日本―社会保障制度を考える私見 ⑨ »

日記・コラム・つぶやき」カテゴリの記事

トラックバック


この記事へのトラックバック一覧です: Topics これからの日本―社会保障制度を考える私見 ⑧:

« Topics これからの日本―社会保障制度を考える私見 ⑦ | トップページ | Topicsこれからの日本―社会保障制度を考える私見 ⑨ »