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2017年1月25日 (水)

「トランプ現象」とTPP ③

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 日本のメディアはグローバル化を如何、伝えているのか。概ね経営の視点である。海外進出=世界で活躍する日本企業=ガンバレ・ニッポン!という捉え方だ。アジアや中国等勃興する市場への進出なら国内雇用への影響は希薄だが、米国や欧州など輸出市場の現地生産化は産業の空洞化を招く。新興国でモータリゼーションが始まり市場が拡大しているとき、空洞化は目立たない。市場が成熟し、途上国の製造技術が追い付いてくると、その影響は大きく出てくる。既にもう、家電は空洞化している。シャープやサンヨーだけではない。世界を席巻したソニー、パナソニックにも過っての勢いはない。やがて自動車産業でも起こるだろう。米国がたどってきた道だ。
 日本の経済報道は昭和に流行った「自由貿易神話」にとらわれ、経団連や経産省の視点に引きずられているようだ。景気の調節弁と言われる非正規労働者や地場産業に頼る地域への目配りに乏しい。日本のメディアが「TPP賛美」に偏っているのも、強者に同調する経済報道に根源がある。収益・効率・成長という経済価値が合理的と考え、公正・安心・連帯、雇用・労働・環境という社会的価値に配慮が足らない。地方在住者や社会的弱者に冷淡で、格差社会を生む土壌にもなっている。
 アメリカであれほど「TPP」が「不人気」であるのに日本の国会論議は低調そのものだ。それは、理由ははっきりしている。ほとんどの議員が「TPP」の中身を知らないからだ。秘密交渉で決まった協定文書は、読みにくい英文の直訳でA4用紙8000ページを超える。専門知識や通商交渉の流れを知らなければ読みこなせない。しかも、協定成立の流れを知る重要な資料は非公開なのだ。
 協定は難解だが、中身は庶民の日々の暮らしに直結するのだ。コメや牛ブタ砂糖といった食品から農業、国民皆保険や薬品、映画、ビデオ等の娯楽から情報・通信まで、さらには会社の在り方や公共事業の入札の仕方、外資系企業がその国の政府を訴える権利まで、ありとあらゆる経済行為について書かれているのだ。後になって「え―こんなのあり?」では済まされない国際的取り決めなのだ。
 本来なら、国会の特別委員会で1年は時間をかけて交渉担当者が8000ページの説明を行い、国会議員が問題点を整理して政府の見解を求める、という作業が必要な案件である。国家の法律より上位にある協定だからといって、国民の代表である国会議員が中身を知らずに通してよい代物ではないのである。





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