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2017年1月24日 (火)

「トランプ現象」とTPP ②

続き:
 トランプ氏とは何者か。どのような人物で何を考えているのか。選挙戦で繰り返された暴言はどこまで本気か、確かめたい。本来なら駐米大使の仕事だろうが、接触できる状況ではない。外務省は首相を使った。就任前の大統領のところに首相が跳んでゆくなど前代未聞である。
 新聞の社説はどう書いたか。読売は「過激な言動を売り物にするだけに、まずは個人的な信頼関係の構築を重視する。その戦略は間違えていない」。首相の行動を讃えつつ、最後にTPPに触れ、「意義をトランプ氏側に説き、日米の強調する道を探るべきだ」と。毎日は「トランプ氏に日米関係やアジア太平洋、国際秩序について認識を深めてもらうよう、話し合いを重ねて欲しい」。朝日は「日米両国がこれからもアジア太平洋地域と世界の平和と安定のために協力してゆく。首相は最低限、その決意をトランプ氏との間で再認識し、世界に発信すべきだったのではないか」。当たり障りのない紋切り型の論調にも思考停止が現れている。トランプ氏はよくわかっていないから、ちゃんと説明して理解してもらい、日米が協力して世界に貢献できるようにしよう、というトーンである。そんな生易しいことでないから世界はショックを受けているのだ。
 「トランプ現象」は他人毎ではない。排他主義、差別、格差、中産階級の没落、政治不信、ポピュリズムの蔓延……。今の世界に共通する現象で、アメリカで先鏡的に表れただけだ。「トランプ氏が勝った要因は、なにをおいても経済格差と地域格差が爆発的に拡大したことにある。何十年も前から米国で進むこの事態に、歴代の政権はしっかり対処してこなかった」。朝日に転載されたルモンドのコラムで、トマ・ピケティ氏は指摘。市場を神聖化する動きがレーガン政権で始まり、ブッシュ親子に引き継がれ、クリントン政権もオバマ政権も流れに身を任せ、民主党とメディアのエリートたちの無能ぶりがダメ押しとなった」。格差や貧困に正面から向き合ってこなかったエスタブリュッシュメントに責任がある、と言うのだ。では日本はどうなのか。
 「ガンバレ・ニッポン!」
 トランプ氏が政策転換をわかりやすく示したのがTPPだ。オバマ政権が「アメリカ経済を発展させる」として推進の旗振り役を務めてきたのに、「我が国にとって災難」とさっさと離脱を宣言する。雇用が流出する、というのがその理由だ。悪しき前例として挙げられたのが、カナダ・メキシコとの経済国境を外したNAFTAだった。NAFTAが発効して自動車産業は国境の向こうに出て行った。GM、フォードはメキシコに工場を建て、完成車を国内に持ち込む。トヨタ、日産、ホンダ、マツダなどの日本勢も、メキシコに生産拠点を構える。米国の労働者は職場を失うばかりではない。人件費の安いメキシコと賃金競争を強いられる。グローバル化を経営者や株主(資本)の視点で捉えるか、従業員や地域の立場で考えるかで、見え方は大きく違ってくる。トランプ氏は大富豪でありながら、職を失う労働者や錆びついた都市の住民に寄り添ったアジテーションで選挙票を獲得した。



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