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2017年2月26日 (日)

健康政策課題と8020運動 ②

続き:
 高齢になるほど病気にかかりやすく、介護が必要になる割合は多い。特に75歳を境に、後期高齢者の要介護・要支援者の割合は約30%で、前期高齢者の6倍以上なのだ。高齢化率が26.7%75歳以上人口の占める割合が12.9%になったわが国で、社会保障費の50%を占める年金も、30%を占める医療費も、人口の高齢化による自然増であって、それは、避けることが出来ない。例えば、1990年と2016年の約25年間を比較すると、国の当初予算ベースでその社会保障費は、11.6兆円~32.0兆円と約3倍である。一方、この間の税収はいずれも約58兆円と増加無しのために、日本の債務残高は、対GDP比で230%超となる。
 このような現実に対して、国示する処方箋は、死亡と要介護原因となる主な疾患の発症・重症化予防及び健康増進と、より効果的で効率的な医療提供体制を構築していくことである。具体的には、
 ① 特定健診・特定保健指導をはじめとする生活習慣病(非感染性疾患:NCDs)対策
 ② 在院期間の短縮を目指し、日常生活圏において医療、介護、住まい、生活支援・
  介護予防の一体的提供を目指す地域包括ケアシステムの構築の2点である。
◎8020運動とNCDs予防
 8020運動は、高齢者だけでなく、小児期および成人期からの歯科疾患による歯の喪失リスクの蓄積と連鎖を予防するという一生涯にわたる国民運動であって、ライフコースアプローチを他分野に先駆けて実践してきた。歯の喪失は、老化によるだけでなく、その主原因はう蝕と歯周病で、これらの歯科疾患の予防を通じて、国民の歯の保存状況は改善されてきた。
 歯数は口腔保健状態を示す強固な指標であり、寿命をはじめとする全身の健康との関連性を示した研究報告が多い。エビデンスの多くは、地域住民を対象としたコホート調査から得る。例えば、咀嚼機能を維持する歯数の保持が、成人期以降の寿命の延伸、高齢者の要介護状態の予防はもとより、メタボリックシンドローム予防、心疾患および呼吸器疾患による死亡率の減少、認知機能低下および認知症の予防、転倒予防、肥満予防、栄養摂取の観点からみた食生活改善など、全身の疾病予防と健康増進の効果を示すものである。このような研究成果は、歯科医療・口腔保健が、一生涯にわたる口腔機能の維持に留まらず、NCDs予防に貢献できることを示している。しかも、1日の歯科患者数は全国で、約130万人、1ヵ月間で約1800万人、1年間の歯科受診者は国民の半数以上にのぼり、歯・口腔疾患のリスクとNCDsのリスクの多くは共通しているので、歯科医療・保健指導はNCDsの予防効果を高めるものとして、社会の期待も大きい。





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