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2017年2月27日 (月)

健康政策課題・8020運動 ③

続き:
◎8020運動とフレイル予防
 一方、高齢期における歯科口腔保健と生活機能の低下予防に就いては、老化という観点から整理する必要がある。老化とは、「いったん完成した身体機能が加齢により低下すること、あるいは加齢により徐々に進行する体機能低下による総合的変化」のこと。臓器レベルでみるといずれも加齢によりその機能が低下するが、各臓器の機能が補い合って日常生活に支障のない状態が維持されている。実際、「何でも噛んで食べる」ことに必要な歯数は高齢になるほど少ない。
 「老衰」は日本人の死因の第5位の6.6%を占め、「高齢による虚弱」は要介護原因の第3位で13.7%だ。このような高齢者の虚弱、老衰に対して、身体的、精神、心理的、社会的側面を加味し、しかも捉え直しした概念がフレイルだ。このフレイルには、低栄養、サルコぺニア(筋肉減少)、身体機能低下に伴う活動量・食欲低下という悪循環が起こる。そして、主として栄養の観点からオーラルフレイル(高齢者における口腔機能の虚弱)を早期に発見する重要性が強調されるようになっている。
 このフレイルの予防は、わが国では2006年から介護予防として取り組まれてきた。この基本チェックリストで口腔に関連する項目は、「半年前に比べて固いものが食べにくくなった」、「お茶や汁物でむせることがある」、「口の渇きが気になる」の3項目である。直近の国民健康・栄養調査で、上記の3項目に「何でも噛んで食べることができる」割合と、「左右の奥歯でしっかり噛みしめられない」を加えて調査した結果が示されている。その結果をみると、70歳以上で「噛みしめられない」者が12.2%、「固いものが食べにくい」32.2%「むせ」25.9%、「口の渇き」25.1%であった。しかし、このような状態は20歳以降にすでに見られ、10歳代ではそれぞれ28.7%、9.7%、10.5%、14.6%となっていて、高齢期の老化だけの問題ではない。
 このような観点からみると、何でも噛んで食べるための歯数の保持は、高齢者の低栄養防止を通したフレイル予防に基本的な要素として貢献してきたと考えられる。これに今後、高齢者の特性を踏まえ、地域住民を対象とした口腔を含む筋力の低下予防を加味したエビデンスの蓄積が期待される。
 国民のニーズを背景に、健康を創り出す歯科医療・口腔保健をさらに推進するために、人生100年の時代の8020運動が必要である。





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