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2017年2月23日 (木)

政治の私物化幻想

続き 西谷修さんの文を引用する コピー・ペー:
執務初日にトランプ大統領はTPPからの「永久離脱」を決定。日本では、アメリカの多国籍企業に農業や医療や保険等が牛耳られ、わが国がそれらの分野で関与の力を失うような「売国協定」だとして、反対する動きが強かった。つまりこの協定は、主としてアメリカの多国籍企業に諸国家を超えた「市場の自由」を与えるためのものだったが、それは必ずしもアメリカ国民を豊かにすることとは繋がらない。かっては企業の繁栄とそこで働く個人の豊かさとは連動するとみなされていた(トリクルダウン仮説)。グローバル経済のもとでは、企業の成長と個人の生活は比例しないどころかむしろ相反する。企業を介した富の集中と個人の収奪が進み、それが国内的にもグローバル規模でも貧富の差を拡大してゆくのだ。市場の一元化は元来アメリカ的「自由」の世界化として進められたが、それ自体がアメリカ社会の足元をも掘り崩すことになったのだ。対立は国家間や国民間にあるのではなく、企業集団と個人の間にある。企業とは何かということだ。その格差形成による不満を、トランプはナショナルな排外的被害意識に転化して掬い取ったのだった。
 分断(1%と99%)が生まれるのは企業(経営者・投資家・富裕層)に利益が集中するからだ。グローバル化する企業が競争で有利に立つため、国内の労働条件は劣化するばかりでなく、労賃の高い国内の労働を避けて工場が国外に移転するという事情なのに、低賃金で働く移民労働者や生活水準の低い外国が悪いと思い込む。「成長」から締め出される労働者のベーシックな帰属意識が、ナショナルなものに誘導されているからだ。
 TPP反対を公的に掲げて選挙に勝った日本の安倍首相は、政権を奪還すると「そんなこと反対を言ったことなど一度も無い」と強弁し、強行採決で協定を批准したが、その破棄を公約に掲げたトランプは、言葉通りにTPPを葬った。その点彼は自分を支持した選挙民に忠実で、たしかに「国は国民に奉仕するために存在する」という信念を実を示したのだ。だだし、彼がそう言う場合、「国民」とはその代表になった自分のことであるかもしれないのである。ツイッターでの「私的」な発言が、政府の意志であるかのように機能させるやり方は、政治の「私物化(privatization)」を疑わせる。だが、その振舞いは、不動産王にふさわしいかもしれないが、アメリカの国家運営や、ましてグローバル世界の舵取りには向かないだろう。




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