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2017年2月 8日 (水)

熊本地震に歯科医師会はどう動いたか ①

日本歯科医師会雑誌よりコピー・ペー:
                        <要 約>
 平成28年4月14日午後9時26分は実は前震で、同16日午前1時24分の揺れが平成28年熊本地震の本震であった。「天災は忘れたころに来る」とは、大正12年、関東大震災の調査研究にあたった地球物理学者の寺田寅彦東大教授が残した警句と言われている。近年は全国の都道府県歯科医師会が災害時の行動計画を策定し、大規模災害に対応する体制の整備を進めている。また各行政機関でも保健医療計画の災害医療の項目に、救急歯科保健医療活動、身元確認、被災者の健康管理のための口腔ケア等が歯科医師会の果たす役割として記されてきている。必ずしも大きな被災が想定されていなかった地域での本震災に於いて、熊本県歯科医師会は元より、日本歯科医師会、九州地区連合歯科医師会(九地連)がどう行動したかを検証したい。
県歯コーディネーターの立場から――― 熊本県歯科医師会 常務理事 牛島隆
 熊本県歯科医師会では4月14日に発生した前震を受け、翌15日には災害対策本部を設置し、被災会員の支援とともに被災者に対する歯科支援活動の準備に取り掛かった。発災直後は行政も混乱して情報が入らない状況の中、多数の家屋が倒壊して、避難所は人であふれ、インフラ復旧の目途が立たないことから、口腔衛生関連物資の配布が急務であると判断し、日本歯科医師会へ支援物資を要請した。すぐに全国から多くの物資が集まり、会員には近隣の避難所の情報収集を依頼し、同時に必要な物資の運搬を行ってもらうことで、早い段階から充実した物資を提供することができた。これは後の歯科保健活動に大きな効果をもたらした。
               災害支援物資提供<配布数>
  歯ブラシ(大人)   71,506 本           義歯ブラシ    5,228 本
 歯ブラシ(子供)   19,383 本           義歯洗浄剤    2,779 箱
 歯磨剤  (大人)   17,933 個           義歯ケース    2,895 個
 歯磨剤 (子供)    5,972個           紙コップ      10,930 個
 マウスウォッシュ    8,632 個           他多品目
 同時に県内関係者だけでは歯科支援対応は困難と判断し、日本歯科医師会へ人的派遣を要請をし、九地連+山口県歯科医師会の支援チームに4月23日から順次各被災地に入っていただいた。県歯コーディネーターとしては各被災地の情報を行政や現地会員から集め、支援チームの配備決定をし、必要な活動内容を各方面に伝達していった。特に今回の支援活動では、インフラの復旧とともに地域歯科診療所が比較的早期に再開したため、歯科医療を必要とする通院可能な被災者は「かかりつけ歯科に戻す」ことを基本とした。医療に関しては、初めて本格的な県外JMATチームに歯科医師や歯科衛生士が派遣され現地のコーディネートを行うなど、今後の貴重な経験が活かされるであろうことを確信する。一方で、避難生活の長期化から、健康対策として災害関連疾病や歯科疾患増加の予防を目標に、熊本県歯科衛生士会とともに歯科保健活動に重点を置くようにした。この点についても県歯コーディネーターは県医療救護本部や各保健所に連絡調整を行っていったものの、最初の1ヵ月ほどは行政側の縦横の連携が機能していない地区も多く、直接市町村や避難所へ出向くこともしばしばあった。
 総勢1,177名もの方々に支援活動を行ったいただいた結果、過去の震災における関連死に誤嚥性肺炎が占める割合が比較すると極めて最小限度に抑えることができた。しかし、県歯コーディネーターの役割を少人数で担うのは非常に負担が大きく、県歯事務局の支えにより何とか職務を遂行したが、今後複数のコーディネーターを設置してその役割を分担したり、現地コーディネーター機能をしっかりと確立するするなどの体制作りが課題である。
 



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