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2017年2月28日 (火)

「転換」のゆくえ

続き:西谷修さんより引用― コピー・ペー:
 IT分野を含めた先進産業ばかりでなく、軍事・金融にわたって、アメリカのリーダー・シップ?は世界に及んでいる。軍事でみれば、アメリカは世界の600以上の基地に駐留軍を置いている。世界秩序の形成と維持に大きな力を発揮しているわけ。そのアメリカの国防戦略の主要な「敵」はロシアである。ところが費用のかかる無駄な対立を嫌い、取引と儲けを重視するトランプは、ロシアとの関係を変えることも公言してきた。シリア情勢を巡って、IS掃討にもロシアと協力するとも言ってきた。その点では、ロシアと対峠し、サウジアラビアなどを介してISに資金や武器を流していたと言われる(ケリー前国務長官も認めた)これまでの米政府のやり方からの大きな転換になる。
 だが、親ロシア姿勢を打ち出そうしていたトランプ大統領就任を前に、米情報当局は大統領選にロシアがサイバー攻撃で介入していたことばかりでなく、トランプが弱みを握られているというレポートを提出した。これは誰の意図は別として、トランプの親ロ姿勢を牽制する意味をもつ。
 その一方で、就任直前にNATOはポーランドに3500人の米兵と80両の戦車を派遣し、近々バルト三国にも5000人の米兵を駐留させるという。これは近年ロシアとの緊張を高めているバルト海でのNATO軍の演習に加えてロシアを刺激する米軍の行動だ。軍と諜報機関は、民主的プロセスの外で行動する国家の枢要機構だが、それが新大統領の意向を初めから阻害する方向に動いているのだ。
 勿論彼は自分の国防長官を任命できるし、CIAのトップを変えることもできる。しかし既にCIAと安全保障機構による牽制は明らかであり、メディア相手なら罵倒や恫喝も可能だが、民主主義システムの外にあるこの国家機構との対立はそうはゆかない。「ポスト真実」の風潮を活用して、当選したと言われるトランプだが、この風潮がいつもトランプに味方するとは限らない。情報機関は「真実」の製造処理のエキスパートだからだ。トランプはプーチン個人(その強権的手法?)に好感をもち、プーチンは付き合いやすいと踏んでいるようだが、メディア化された世界で顕著になっている政治の個人化(あるいは「私事化」)の手法は、ここでは既に使えないだろう。
 ロシアとは関係改善を求める一方で、中国と事を構えるのも躊躇しないようだ。既に「ひとつの 中国」政策を見直すと言い出し、中国を警戒させている。これは40年来の政策変更になるが、アメリカはこの40年間、中国とはももちつもたれつでやってきて、既に望むと望まざるとにかかわらず、経済・軍事で重要なパートナーになっている。中国と敵対するとしたら、ロシアとの融和が必要だろうが、ウクライナ問題もあって、米軍とNATOはそれとは逆の動きをしている。その上、アメリカ大使館をエルサレムに移すというイスラエルに対する無思慮な肩入れをし、ようやく成ったイランとの関係改善も逆戻りさせるという。それはトランプの個人的な趣味には適うとしても、混迷の中東情勢はさらにまた掻き乱されることなのだ。
 アメリカの外交姿勢が変わること自体は望ましいが、トランプの提言には何の見透しも定見も見てとれず、世界の安定に対するいささかの顧慮も無し。就任演説にはっきり表れていたように、やはり「アメリカ第一」それだけ。それでも世界は、しばらくは「自分」のことしか考えない「トランプの米国」と付き合わねばならない。残念ながら日本には、それと渡りあえるだけの度量や見識をもったリーダーはおらず、国民はその迷走に付き合わされることになる。



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