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2017年3月19日 (日)

債務超過の悪夢 ①

会計評論家の細野祐二さんは『世界』2017年3月号に書いている。コピー・ペー:
 2016/12/27、日経新聞は、「東芝が米国子会社ウェスティングハウスの原子力発電事業で数千億円規模の特別損失を計上する見通し」との衝撃的な記事を掲載した。今頃になってウェスティングハウス(以下、WEC)の原発減損が出てきたというのだから、真冬の幽霊とはこのことであろう。2015年に発覚したWECのこの問題は、東芝の2016年3月期決算ですでに解決済みということになっていた。それどころか、2015年に発覚した粉飾決算に深く反省し、心を入れ替えたはずの東芝は、粉飾決算後、半導体事業が俄然好調で、2016年4月以降、業績の増額修正を繰り返していたのである。
 東芝の原発事業の実態は、本当は、底なしの泥沼なのではないか?疑心暗鬼にかられた証券市場で、東芝の株価は、翌日12月28日に311円60銭で80円のストップ安を付け、さらに29日には、258円70銭で52円90銭安となった。出来高は6億3875万6000株の大商いだ。
 東芝の粉飾決算疑惑が勃発したのは2015年5月の事、今にしてみれば眠たい話だが、此の時の疑惑は、工事進行基準の進捗率の不正適用等という会計技術上の問題だった。これを受けて東芝は、同年6月、原子力・火力・水力発電等インフラ工事受注に於ける工事進行基準の不適切会計処理を認め、2012年3月期~2014年3月期迄の三事業年度の営業損益累計500億円強の減額訂正を発表。それ以前1年以上にわたり400~500円台を推移していた東芝株価は、不適切な会計処理により、一気に300円台に下落した。
 同年7月20日に、東芝の第三者委員会による調査報告書が公表、7月21日の新聞各紙は、「1562億円の組織的利益操作」と報じた。しかし、この調査報告をしたところで、すでに表面化していた①工事進行基準の問題に加えて、②外注先に対する部品の有償支給を売上として計上するバイセル取引(その後買戻しするので売上にはならない)、③経費の過少計上を目的とした広告費や物流費の意図的な計上繰延、④生産中止で価値を失った半導体在庫の評価減の未計上を指摘して、利益操作額を1562億円に増加させただけの事、この本件が会計処理の誤りに過ぎないという問題意識は変化は無かった。
 東芝の粉飾決算疑惑が第二幕を迎えるのは、『世界』2015年9月号に、筆者(細野)が、「東芝粉飾決算事件の真相と全容―― 大企業を蝕んだ原発事業巨額買収」とタイトルを付けて論評を寄稿して、その中で東芝粉飾決算の本丸は、WECの「のれん」の減損にあると指摘して以降である。この号の発売は8月上旬で、⇒発売日が重要な意味を持つことになるのだ。
 此の論評は望外の反響を呼び、これ以降、多くのマスコミがWECの減損問題を取り上げるようになった。7月にかけて300円台で下げ止まるかと思われていた東芝の株価は、8月中旬より再度下げ足を強め、9月にはなんと150円台になってしまった。今回、東芝の巨額原発損失の公表に唐突感を覚える人が多いが、その意外性を理解するキーは、この『世界』2015年9月号にある。以下、その背景を解説する。



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