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2017年3月27日 (月)

債務超過の悪夢 ⑦

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 規制強化といえどもWECの原発事業の収益性は良好であるというのが、この時までの東芝=WECの見解だ。新日本―EYもこれをこれを支持し続けた。そもそも、WECは、S&Wが、利潤を生むどころか追加原価で収益見通しが立たないことをしっかり認識し、簿外債務があってもそれでいいから、どうしてもということで0ドル買収を強行した。それもこれも、すべてはWECの収益性問題の隠蔽のためだったのではないか。CB&Iも、それ以前は正味運転資本について何の問題指摘もなかったWECが、一転して巨額の運転資本不足を言い立て、あろうことか、意見が違うなら第三者会計士の調停に持ち込みたいなどと、手の平を返すようなことを言い出したものだから、唖然として裁判所に訴えたというところではないか。
 ここでWECが主張する2基の原発プロジェクトは、WECとS&Wが協同で事業を行っている。S&Wに膨大な追加原価が発生しているということは、WECにも同様の追加原価が発生していることなので、この主張は、WEC=東芝自身の首を絞めることになる。だから、こんな本当のことを東芝=WECが自らの意志で自発的に言うわけがない。東芝の監査人変更は、社会が一旦うやむやのうちに収めてしまった東芝粉飾決算問題の本命に、まわりまわってぐさりと命中したことになる。
 先に、WECとCB&I間の運短資本の争いにおいて、第三者会計事務所の調停がCB&I側に有利との指摘をしたが、このことについてここで説明しておく必要がある。この調停の判断基準が米国会計原則(USGAAP)に基づいて行われることは、買収契約書にも明記されており、デラウエア州立仲裁裁判所2016/12/05付メモランダム・オピニオンでも確認されている。
 さて、ここでWEC側の主張は、現行原発規制により、原発プロジェクトは膨大な追加原価が発生しており、その追加発生原価が負債計上されていない運転資本計算は米国会計原則違反であるというものである。ところが、CB&Iの行った運転資本計算は、S&W社の監査財務諸表の数字を使って計算している。CB&Iの行った運転資本計算が米国会計原則(USGAAP)に準拠していることについては、既に米国の社会制度上の認知を受けているのである。
 要は、追加原価の発生を概算値でもいいから保守的に計上するWECの運転資本計算も、追加原価の計上は金額の合理的見積を要件とするCB&Iの運転資本計算も、ともに米国会計原則に準拠していると言いうるではないか。そんな中で、CB&Iの運転資本計算だけを米国会計原則違反とするのは至難の業であろう。
 米国会計原則とは関係ないが、CB&Iは、S&Wの基準正味運転資本額が11億7400万ドルで買収契約書上合意されていたことから、2015/06/30から同年12月31日までの間に、約10億ドルの運転資金をS&Wに拠出している。CB&Iは、10億ドルの現金拠出を行って買収契約上の運転資本維持義務を履行しようとしたのである。CB&Iによる10億ドルの資金拠出は、調停上、CB&Iに有利に作用するであろう。



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