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2017年3月20日 (月)

債務超過の悪夢 ②

続き:
 「CB&Iの米国子会社買収に伴うのれん及び損失計上の可能性について」とタイトルを付けたプレス・リリースを2016/12/27付で東芝が公表した。―― 今回の巨額損失。
 次の通りだ。―――――
 2016/01/05付「米国CB&Iストーン・アンド・ウェブスター社の買収完了についてお知らせのとおり、当社のグループ会社であるウェスティグハウス社(WEC)は、Chicago Bridge & Iron 社の子会社であるCB&I ストーン&ウェブスター社(以下、S&W)の買収を完了し、S&Wの資産価値の評価については現在依拠している米国会社基準に従った適正な手続(以下、取得価格配分手続)を経て本年12月末までに最終的に決定する予定である旨公表しております。また、併せて、同公表において、変更可能性はあるものの、同買収の結果、WECグループ及び当社連結ベースで約8700万米ドルののれんの計上を想定している旨公表しておりました。取得価格配分手続の期限である12月間近のこの段階で、のれんの数10億米ドル規模、(数千億円規模)にのぼり、当該のれんの一部又は全額減損を実施することで、当社(東芝)業績は影響を及ぼす可能性が判明したことから、影響額は依然未確定ではありますが、決算発表の期日を待たずに本日お知らせします。
 取得価格配分手続では、承継した資産と負債をWECが公正価値で評価する為に、買収完了後にWECがS&Wの資料等に基づき、改めてWECとしてコストに影響する主要項目を評価しながらプロジェクトにかかるコストの見積もりを行っております。取得価格配分手続は継続しており、必要なのれんの計上額も引き続き精査中ですが、これらの試算を当社グループとして総合的に評価している中で、コストの大幅な増加により資産評価が当初の想定を大幅に下回り、必要なのれんの計上額が当初想定の約8700万米ドルを超え、現時点で数10億米ドル規模(数千億円規模)となる可能性が生じました。
 のれんについてはWEC及び当社連結決算(第3四半期決算)で減損テストを実施いたしますが、その結果、その一部又は全部を減損する可能性があり、その場合WEC及び当社が損失を計上する可能性があります。
 東芝はその米国子会社WECを通じて、S&W社を、2015/10/27付で買収。ここでS&W社は、米国大手エンジニアリング会社CB&Iの全額出資子会社で、原子力事業を行っている。
 ところで、企業買収の際の買収価格と買収対象会社の純資産価値との差額は、会計上、一旦これを「のれん」として資産計上することになっている。例、100億円の純資産価値の会社について、その収益力を評価して、これを150億円で買収する場合、買収価格と買収純資産価値との差額50億円は「のれん」となる。そもそも「のれん」は、第三者転売性のない会計技術上の疑似資産に過ぎない。現行会計基準では、「のれん」は、対象企業の超過収益力の存在を前提として厳格に資産計上が制限されている。そこで、一旦「のれん」が計上されると、企業はその「のれん」が前提どおりの超過収益力があるかどうかを定期的に確認しなければならない。これを会計上、減損テストという。
 これが12月27日付東芝のプレス・リリースを理解するための基礎知識であるが、必要かつ十分なこの基礎知識をもって読んだところで、このプレス・リリースは到底理解できる代物ではない。
 S&W社の買収でのれんが発生し、減損テストの結果のれんの減損が出るのは分かるとしても、買収当初約8700万米ドル(100億円程度)と想定していたのれんが、1年以上たった今になって突然数10億米ドル規模(数千億円規模)になるというのは、どう考えてもおかしくないか?また、その数千億円ののれんが減損テストに耐えられず、その一部あるいは全部が減損されるということになると、東芝=WECは、超過収益力の無いS&Wを数千億円も高く買ったということになってしまう。粉飾決算をするくらい財務内容の悪い東芝が、数千億円の無駄遣いをやっていいのか?
 東芝のプレス・リリースはこれらの当然すぎる疑問に対して、全く答えになっていない。このプレス・リリースは、綱川智代表役社長名で出されており、綱川社長は、当然のことながら、記者会見でマスコミから質問攻めにあっている。綱川社長はその質問にまともな答えができないが、これは綱川社長にそんな事を聞くマスコミが悪いのだ。何故なら、2016年5月になったばかりで医療機器部門出身の綱川社長自身、今頃になって出てきた数千億円の減損のカラクリが全く分かっていないのだ。マスコミは、上記まことに尤もな質問をするのであるが、そんなことはむしろ綱川社長自身が聞きたいくらいであろう。苦渋の綱川社長に代わり、筆者(細野)がこの疑問に回答する。
  




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