« 債務超過の悪夢 ⑦ | トップページ | 債務超過の悪夢 ⑨ »

2017年3月28日 (火)

債務超過の悪夢 ⑧

続き:
 対CB&I調停においてCB&Iが有利との分析を行ったが、仮に、この調停がCB&Iの勝で終わった場合、CB&Iに支払うべき和解金4億2780万5000ドルもまたWECののれんとなり、同時に、それは即時減損の対象となる。S&Wの買収に関して、東芝が計上しなければならない減損額は、21億5050万ドルでは済まず、25億7830万5000ドルに膨らむ可能性がある。東芝の減損額を3000億円程度とする観測記事がマスコミに出たが、これは25億7830万5000ドルを円換算した額である。
 しかし、ここでの3000億円というのは、WECとCB&Iの仲裁裁判の中で、WECが主張した金額に過ぎず、その数字も計上された原価の30%などとして、さしたる根拠があるわけでもない。東芝が今回計上しなければならないのは、連結決算のための継承資産負債の東芝としての評価差額であり、それが30%などという根拠のない数字ではお話にならない。原発プロジェクトの追加原価の精査次第では、これが50%に跳ね上がることもあるわけで、そうすると減損額も5000億円となる。
 S&Wの原発プロジェクトに対する追加原価を原因とするのれんの原価は、東芝の他ののれんにも玉突き現象を引き起こす。2016年3月期の有価証券報告書によれば、東芝は2016年3月末時点で、電力会社インフラ部門ののれんが連結上2659億円あった。今回、S&Wの買収で、原発の追加原価を理由にのれんの減損を行うのであれば、すでに計上されている2659億円ののれんも資産性を失ってしまう。
 まだある。東芝の連結財務諸表には、のれん以外にも、技術関連無形資産と顧客関連無形資産という訳の分からない消却無形資産がそれぞれ、1168億円と627億円、ブランドネームなどと言うふざけた非消却無形資産が482億円資産計上されている。これらの実態はのれんと変わらない。こんなものが資産計上を許されてきたのは新日本監査法人だったからで、これも減損されなくてはならない。
 以上、合計すると、東芝が今回減損で計上すべき特別損失額は7772億円となり、S&Wの追加原価次第では、この金額はさらに拡大する可能性がある。東芝の2016年9月中間期末の連結純資産は3632億円なので、いくら半導体事業が好調でも、2017年3月期末の東芝の債務超過は避けられない。
 この論考を通じて、われわれは東日本大震災後の原発建設が、際限ない追加原価の発生で立ち行かなくなっている現実をまざまざとみることが出来た。しかし、いくら際限ない追加原価と言っても、原発も人の営みなのだから、そこには限度というものがあるはずで、ここで一度冷静に、その限界点を考えてみる必要がある。」




« 債務超過の悪夢 ⑦ | トップページ | 債務超過の悪夢 ⑨ »

日記・コラム・つぶやき」カテゴリの記事

トラックバック


この記事へのトラックバック一覧です: 債務超過の悪夢 ⑧:

« 債務超過の悪夢 ⑦ | トップページ | 債務超過の悪夢 ⑨ »