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2017年3月30日 (木)

香りの心理作用の画像化 ③

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 では、その精神高揚剤と精神鎮静剤の作用をもう少し生理的に考えてみよう。そして、その時にどのような測定方法が適しているのかをみてみよう。ヒトの精神状態を司っている最高の司令塔は前頭葉であるといわれてきている。その最大の理由は同じ霊長類であるサルに比べて、ヒトの方が圧倒的に前頭葉が発達しているからである。脳波の測定を原理的に考えると、ニューロンの活動を骨と皮膚を介して、頭皮のの上から電極を当て、(微分的に)測定する方法であるので、まさに靴の裏から足の裏を掻くようなものである。最近の脳波の知見によれば、脳波の違いで脳の状態を判定できるのは、瞑想、てんかん、睡眠の際に限られているとのことである。脳波は徐波睡眠とレム睡眠の区別もできる。これを利用して、睡眠時無呼吸性症候群の判定には脳波が使われている。しかし、脳波を用いて心理の実験を行うには雑音が多く困難であった。そこで、最近診断によく用いられているfMRI、EM G、PET、NIRS、の4つのタイプの装置を用いて、前に述べた精油を用いて脳機能の測定を行ってみた。まず、fMRIを用いて測定を行った。どなたもご存知かと思うが、fMRIは脳内のタンパク質や脂質の陽子スピンの緩和時間についての計測を行うものであるが、人によって活性化する部位が違った。従って、人によらず共通の部分が活性化するということはなかった。
 次に、中枢神経を流れる微小電流が作る磁場を測定するEM G(Erectro Magnet Graphy)で測定してみた。こちらも人によって違う部位が反応した。PETを用いた実験では、すべての香りに対し、同一のパターンを示した。そして、最後の頼みの綱としてNIRSを使った実験を行った。NIRSとは前頭葉、および頭頂葉を使って、近赤外線光源と検出器を等間隔にネット上に配置して、前頭葉や頭頂葉を流れる血液の酸素濃度を測定する装置である。これは予想以上に劇的な効果を見せた。即ち、ジャスミンやペパーミントのように心身を高揚させる効果のある精油は前頭葉のパターンはほとんど活性を示す赤一色(波形は上向きに変化)であった。また、ベルガモットをはじめとする鎮静効果のものは被験者の画像は非活性を示すブルー一色(波形は下向き)であった。
 こうしてみると、心理状態や画像処理するのは困難であるものの、NIRSが心理状態の測定に最も適しているということが分かった。




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