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2017年3月 1日 (水)

日本の事情

続き―西谷修さんの文 引用。コピー・ペー:
 安倍首相は世界の狼狽を尻目に、真っ先にトランプ・タワーに駆けつけて「不動の日米同盟」とTPPの重要さを説いてきたはずだが、トランプは早々とTPP離脱を表明したばかりか、貿易不均衡で日本をターゲットにした。それでも日本政府は何とか首脳会談を取り付け、「粘り強く説得してゆく」と言う。だがトランプは安倍首相と違って、選挙公約は守るのだ。安倍首相は何故公約を反故にしてTPPを推進したのか、その理由を国民に説明できない(―だから強行採決した)。推測すれば、日本社会の利害を米多国籍企業や金融資本に売り渡すTPPは、たしかに大きな「対米貢献」になるとみられている。しかし、二国間交渉になれば更に厳しい条件を日本が呑むことを迫られると危惧されている。
 安倍首相は、トランプ大統領の政策がどうあれ「日米同盟」は不動の基盤という。だが一方的に「同盟」を強調するものの、相手にはそれを重視しているそぶりは全くない。勿論、就任演説に「日米同盟」など一言もでてこない。実は「日米同盟」等、トランプのアメリカには殆ど意味が無い。米軍駐留も役に立たないと言っている。要するに現実は、「日米同盟」とは、日本の指導者が自分の主張や地位を正当化するための日本国内向けの口実にすぎないということなのだ。トランプ相手には、安倍首相のすがる「日米同盟」はフェイクである。ただ、どんなに無視されても、押しかけて「貢献」し続けるその「ひたむきさ」は、不動産王のトランプにとっておいしくはないだろう否、美味しいはずだ。
 米軍への基地提供(沖縄の辺野古新基地ばかりでなく、岩国は極東最大の米軍基地になろうとしているし、三沢にも大基地があり、首都圏の厚木もある)、駐留経費負担の増額、それに米軍の実質的な治外法権を認める日米地位協定、その上オスプレイやF35ステルス機などの兵器の高価購入等、安倍政権によるアメリカへの「貢献」は既に破格な金額をアメリカに出しているのだ。こんなに尽くしているのに、何をこの上、と安倍首相は泣きついてくるつもりなのだろうか。
 この「アメリカへの貢献」が、安倍政権にとって「日米同盟の強化」だと言えるのは、これによって国内的に軍事強化が進められるからである。日本の戦争肯定派にとっては公然の再軍事化が悲願だが、それは日米安保体制下、つまり米軍との統合下でしか可能ではない。だから日本が軍事化すればするほど、それだけアメリカ従属は深くなり、それが「対米貢献」と表現される。そうなるのは「戦争肯定」が、アメリカへの無条件降伏と不可分だったから。ただしその場合、肯定される戦争は日中戦争であり、中国は依然として「敵」であり続ける。だから対ロ外交の失敗を糊塗するために真珠湾へにわか旅行して「不戦」を誓っても、安倍首相が満州や南京には赴くことは決してない。
 ドイツと違って、日本は戦争当事国だった近隣諸国とまともに関係を築き直そうとしたことがない。そのために、「旧悪」を「反省」するのを恥辱とみなして「中国敵視」を存在理由にするような政治家があとを絶たない。「中国敵視」の「戦争肯定派」にとっては、「日米同盟」が命綱であり、それ以外の世界ヴィジョンがまったく描けないのだ。




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