« 香りの心理作用の画像化 ③ | トップページ | 債務超過による東芝の存続は ① »

2017年3月31日 (金)

Report2017 ゲノム編集

広多勤(横浜ヘルスリサーチ代表)さんの文章をコピーペー:
 公益財団法人国際科学技術財団は、2017年(第33回)日本国際賞(Japan Prize)を、「生命科学」分野で「遺伝子工学に革命的な新技術をもたらした」カルフォルニア大学バークレー校教授ジェニファー・ダウドナ氏(米国)とマックス・プランク感染生物学研究所(ベルリン)所長のエマニュエル・シャルパンティエ氏(フランス)に、「エレクトロニクス、情報、通信」分野で「先導的な暗号研究により情報セキュリティへ貢献した」ワイツマン科学研究所教授のアディ・シャミア氏(イスラエル)に贈ると発表した。
 ダウドナ氏とシャルパンティエ氏の授賞の対象となった業績は「CRISPR(クリスパー)と呼ばれる塩基の繰り返し配列部位がウイルスなどの侵入者から身を守る適応免疫を担っていることを証明し、Cas(キャス)と呼ばれるタンパク質(酵素)を伴って外来のDNAを切断する機構を解明した。更にこの仕組みを利用して、特定のDNA配列に対応してガイドとなるRNAを設計して合成することで、標的DNAの任意の部位を切断できることを示した。
 「遺伝子組み換え技術」はすでに確立された方法があって、トウモロコシなどの作物改良や、医薬品生産等で、実用にも利用されている。しかし、実はこれまでの組み換え技術は非常に不確かなもので、目的とする遺伝子が切れているか、挿入されているかは、いったん多数のゲノムに操作処理をしたうえで、目的にあった組み換え遺伝子が出来たものだけを探し出していかなければならない。膨大な時間と手間がかかり、しかも熟練が必要なたいへん高度な技術が必要だった。
 ところが、このクリスパー・キャスによる方法では、ゲノムの中の任意部位で、目的とする遺伝子だけを切断、置換、挿入することが、従来方法に比べて桁違いの精度で確実に、しかもごく簡便に可能になる。あたかもワープロ画面で文章を編集するような手軽さで、ゲノムを自在に書き換えることが出来ることから→「ゲノム編集」と呼ぶ。
 ゲノム編集の方法はこれまでにも幾つか開発されてきたが、このクリスパー・キャスによる方法はそれらより遥かに短時間で安価に行うことが出来る。そして誰でも容易に扱える。しかも動植物を問わず、種を選ばず同様に応用が出来る。両氏が最初の論文を発表したのは2012年。それから僅か数年だが、生物のゲノムを自在に改変できる手段として多くの研究者がこの技術を取り入れ、生命科学研究に不可欠な技術の一つとなっている。生命科学分野に於ける革命的な新技術と高く評価され、受賞となった。
 実際に、芽が出ても毒のないジャガイモ、病気に強いブタ、成長が早く肉量の多い真鯛などが開発途上にあり、あるいはヒトの体細胞や血液細胞での遺伝子治療の臨床研究、がん移転のメカニズムの研究等、農業、育種、医療などの幅広い分野で応用研究が急速に進んでいる。今のところ、ヒトの生殖細胞には臨床応用すべきではないとされている。しかし一部のスペシャリストからは、遺伝性の深刻な病気を防ぐ目的に限って、慎重に条件を整えれば、将来的には容認してもよいのではないかの声も出ている。
 日本国際賞は、「ノーベル賞に匹敵するような賞を」との日本政府の構想に故松下幸之助氏が30億円を寄付し、これを基金に1988年に第1回の授賞を行った。毎年、科学技術の2分野を選定して、受賞者には賞金5000万円が授与される。第33回の授賞式は4月19日、天皇皇后両陛下ご臨席のもと国立劇場(東京・千代田区)で執り行われる。
 




« 香りの心理作用の画像化 ③ | トップページ | 債務超過による東芝の存続は ① »

日記・コラム・つぶやき」カテゴリの記事

トラックバック


この記事へのトラックバック一覧です: Report2017 ゲノム編集:

« 香りの心理作用の画像化 ③ | トップページ | 債務超過による東芝の存続は ① »