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2017年3月 4日 (土)

Science 歯磨剤の科学とフッ化物のメカニズム ②

第1章 歯磨剤の材料(原料)とその役割

1、 基本成分

1)研磨剤(清掃剤)

 研磨剤は歯の表面を傷つけないよう、かつプラークやステイン等、歯の表面の汚れを物理的に落とすために配合される。主な研磨剤は、リン酸水素カルシウム、水酸化アルミニウム、無水ケイ酸、炭酸カルシウムである。個別的に見ると、リン酸水素カルシウムには他の研磨剤と比べて渋みなどのクセはないが、比較的高価である。そのため使用感に優れた高価格帯の商品に使われる傾向にある。炭酸カルシウムはリン酸水素カルシウムと比べて安価な原料であるため、価格を抑えた商品に広く使用される。また炭酸カルシウムはアルカリ性を制するのだ、アルカリ性で問題を起こす原料とは一緒に使えない。例えば、ある種の香料はアルカリ性で変性を受けるものがある。水酸化アルミニウムも炭酸カルシウムと同様な商品目的で使われる傾向にある。

 無水ケイ酸は、かってフッ化ナトリウム(NaF)との相溶性に問題があった。しかし、原料業者の努力でさまざまに表面改良され、優れた相溶性のある研磨剤が入手可能となった。なおこの相溶性については、F歯磨剤の効果に大きな影響を及ぼす特徴なので、あとで、詳しく解説する。さらに研磨剤を改良して、粒子の大きさ、かたち、硬さ等の多彩な粒子物性を有した原料が開発され、歯質へのダメージ(傷や摩耗)を最小限に抑えつつ、ステイン除去に優れた歯磨剤の開発が可能となった。現在の消費者の多くは、欧米も含めて歯がキレイに(白く)輝くように見える歯磨剤を選ぶ傾向にある。無水傾向にある。無水ケイ酸は、フッ化物との相溶性とステイン除去の両面から優れた研磨剤といえる。

2)湿潤剤(保湿剤)

 歯磨剤に適度の湿り気を付与するために使われる。代表的な湿潤剤はソルビトールとグリセリン。いずれも糖アルコールに分類―物質で、、分子に複数の水酸基(OH)を持つ。この水酸基は歯磨剤中の水分子と水素結合(この場合、水分子の酸素と糖アルコールのH、および水分子の水素と糖アルコールの酸素との間の緩やかな「OとH」の結合)を形成して、水が簡単には蒸発しないような働き(保湿)や長期間にわたって適度な湿り気を付与する。

 また、この水酸基のため甘味を呈する。この甘味のおかげで歯磨剤の使用感が良くなる。この糖アルコールには、キシリトールやエリスリトールも含まれる。これらの糖アルコールには、甘味(または清涼感を伴う甘味)に微妙な違いがあり、その特徴を生かして商品がつくられることもある。

3)発泡剤(界面活性剤)

 歯磨剤は唾液と混ざって均一なスラリーとなり、この時に泡もできる。この泡をもたらす成分が発泡剤である。代表的な成分は陰イオン系のラウリル硫酸ナトリウム。他にショ糖脂肪酸エステルやポリオキシエチレンステアリルエーテルのような非イオン系の物質が使われることもある。

 実はこの泡には、口中の表面に付着してスラリーが口から簡単には垂れ落ちないような働きもある。因みに発泡剤を配合しないでつくった歯磨剤で歯を磨くと、このスラリーが口から垂れて満足に磨くことが出来ない(中嶋の経験)。以前、消費者や研究者らからこの泡が多くて歯磨が十分できないとの批判があり、現在市販されている歯磨剤の多くは発泡剤の配合量を少なくして発泡性を抑えた商品が主流。

 発泡剤によってできた泡には、歯磨をして取り除かれた汚れ(食物残渣、プラーク細菌、ステイン等)を包み込み、きれいになった歯面などの口中表面にこの汚れが再付着しない界面活性剤としての働きもある。さらに水には溶けない油性の香料(後に述べる)を均一に分散・溶解させる作用もある。





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