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2017年4月 6日 (木)

債務超過による東芝の存続は ④

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 それにつけても、東日本大震災(2011/03/11)の僅か2か月後に、よりにもよって電力関連のランディス・ギアを1793億円という巨費を投じて買収((2017/05/19)するというのは、正気の沙汰ともおもえない。WECの時もそうであるが、何がコンプレックスになっているのか、東芝は海外の有名ブランドにめっぽう弱い。東芝にしてみれば、ランディス・ギアを「スマートグリッド(次世代送電網)や環境配慮型都市(スマートコミュニティー)事業の成長エンジンに位置付けていたものの、想定通りの相乗効果を得られていない。」(日経2月12日朝刊)ということなのであろうが、要は、ランディス・ギアの買収価格が高すぎるため、まともな減損テストにたえられないのである。
 日経の報道によれば、2016年9月末時点のランディス・ギアの「のれん等」の未償却残高は1432億円だとされている。東芝の債務超過に何ら遠慮容赦のないPwCあらた監査法人は本稿が展開した当たり前の会計理論に従いランディス・ギアの減損テストを行ったはずで、超過収益力が全く認められないことから、その結論は未償却残高1432億円の全額減損ということになったのではないか?
 もはやS&Wの減損もWECの減損も、ともに観念した東芝も、ランディス・ギアの減損だけは困る。この段階では、すでに債務超過は確定しているので、減損の巨額性そのものはさして痛痒を感じることもないが、この減損は、産業革新機構の決算に影響を与えるからである。産業革新機構の出資案件中、ランディス・ギアに対する出資は、ジャパンディスプレイの2000億円、ルネサスエレクトロニクスの1383億5000万円に次ぐ第三位投資先で、群を抜く大口投資案件なのである。
 あの東日本大震災直後における大混乱の買収時にさんざんお世話になり、また今後もさらに一層お世話になりたい産業革新機構にご迷惑をかけるようなことは、東芝は死んでもできないであろう。日本経済新聞の報道にもかかわらず、2月14日の東芝の業績見通しには、ランディス・ギアの減損1432億円は計上されていなかった。東芝が決算を組めないのはこれが要因だ。
 東芝は、2016年3月末時点で、4109億円の短期借入金がある。7136億円の長期借入金、合計1兆1245億円の銀行借入金がある。これ以外に3000億円の無担保円建社債を発行している。東芝の債務超過に陥った結果、これらの対外債務はすでに期限の利益を喪失している。銀行の融資継続意志の表明が無い限り、即時返済が求められるのである。
 東芝の主力融資銀行は、三井住友銀行とみずほ銀行であるが、これら主力二行は、東芝に対する2800億円の協調融資について、3月末までの融資延長に合意している。それどころか、東芝の債務超過を受けて、一部の地方銀行が、融資継続に懸念を示したのに対し、三井住友銀行とみずほ銀行は、これら協調融資脱落銀行の債権を買い取ってでも融資継続をやっており、東芝の資金繰りを支えていく姿勢を見せている。
 減損問題が喧騒される中で見落とされがちであるが、日経は1月30日夕刊で、信託銀行が、信託勘定で所有する東芝株式が不適切会計により下落し損失を受けたとして、3月末にかけて、東芝に損害賠償請求を起こす見込みであることを報じている。この記事で挙げられているのは、三菱UFJ信託銀行、みずほフィナンシャルグループ、三井住友トラスト・ホールディングス、資産管理サービス信託銀行、日本トラスティ・サービス信託銀行の信託五社である。っこで笑ってしまうのは、三井住友トラスト・ホールディングスとみずほフィナンシャルグループの資本系列である三井住友銀行とみずほ銀行が東芝の主力融資銀行になっていることである。同一資本系列の金融機関でありながら、銀行は融資継続で貸し込み、信託は損害賠償請求で回収に入る。





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