« 債務超過による東芝の存続は ④ | トップページ | 債務超過による東芝の存続は ⑥ »

2017年4月 7日 (金)

債務超過による東芝の存続は ⑤

続き:
 三井住友銀行の國部頭取は、東芝の債務超過を受けた2月16日の記者会見で、「産業競争力の維持を考える上で重要な役割を果たしている企業なので、主力銀行として可能な限り支援していきたい」などと、まことに頼もしいことを言ってくれるのではあるが、銀行と信託との姿勢の違いから分かるように、このバンカー達は単に資本の倫理で貸し込んだり回収したりしているだけのことで、別に東芝にたいして、国家の経済政策を忖度した特段の思い入れがあるわけではない。國部頭取が、3月14日に予定されている東芝の延長決算報告日においても同様の発言をするかどうかは、大いに疑わしく、東芝は、國部頭取の発言をあてにすべきではない。
 先に信託銀行が信託勘定で所有する東芝株の下落につき東芝に損害賠償請求を起こす旨を記載したが、このことは、銀行と系列の信託銀行における東芝に対する評価の違いを意味しない。信託銀行は、資産預託を受ける機関投資家としての受託責任を果たすために、損害賠償が避けられないと判断しただけのことで、その背景には東芝株式の下落による損害賠償請求は、原告勝訴の可能性が高いということがある。東芝はすでに粉飾決算をしっかり認めており、粉飾決算と株価下落の因果関係は、粉飾発覚前後平均株価差額250円幅について、悲しいほど明白だからである。ならば、下落した東芝株を売却して(損失額を確定することにより)損害賠償を請求する方が、(この期に及んでまことに頼りげない)東芝の再生を期待して東芝株を持ち続けるよりも、経済合理性が高いであろう。
 ということは、3月14日に、東芝が目が覚めるほどの再生プランを示さない限り、すべての投資家が信託銀行と同様の思考経路を経過して、東芝株を売って損害賠償請求をかけてくる可能性があるということになる。東芝の発行済株式数は4,237,602千株である。粉飾前2014年当時の株価が400~500円で、現在の株価が200円程度なので、東芝は、ざっくりと1兆円(350円×4,237,602千株)の潜在的訴訟債務を抱えていると考えなければならないのである。





« 債務超過による東芝の存続は ④ | トップページ | 債務超過による東芝の存続は ⑥ »

日記・コラム・つぶやき」カテゴリの記事

トラックバック


この記事へのトラックバック一覧です: 債務超過による東芝の存続は ⑤:

« 債務超過による東芝の存続は ④ | トップページ | 債務超過による東芝の存続は ⑥ »