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2017年4月 8日 (土)

債務超過による東芝の存続は ⑦

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 当然に、分社半導体子会社の株式売却は20%では足りず、東芝は、分社半導体子会社の経営支配権そのものを譲渡せざるを得ない。ということは、此の譲渡は、誰が買い手になろうと、独禁法に基づく公正取引委員会の審査をうけなければならず、従って、3月末までの譲渡は間に合わない。東芝を取り巻く状況は日々刻々と変化していくので、確定的なことは予想できないが、どんな楽観的な仮定をおいてみても、東芝の2017年3月末までの債務超過は避けられない。
 監査法人指摘事項を丸呑みして、3月14日の第3四半期報告を乗り切っても、その翌日には、東京証券取引所に対する内部管理体制報告書の提出がある。東芝とすれば、この報告書に、内部管理体制の問題点は全て改善されたと書かざるを得ないが、東京証券取引所も、東芝が上場廃止の執行猶予期間中にやってくれたことを知っているので、(―特設注意市場銘柄指定継続理由書に明言したごとく)「内部管理体制等について改善がなされなかった」と認めて、東芝株式を上場廃止にしなければならないが、これhがすぐにはやらないであろう。
 なぜなら、この段階では、東芝の3月末債務超過が確定しているので、東京証券取引所の上場規定に基づき、東芝株は第二部市場に陥落することが分かってうるから。さらに、來事業年度においても東芝の債務超過が解消されない場合、東芝は自動的に上場廃止となる。東証も、上場廃止の直撃弾を自分で打つのは嫌なので、3月15日提出予定の内部管理体制報告書の審査をゆっくりとやるであろう。
 これが想定される中で最も楽観的な東芝債務超過後のシナリオであるが、結果残るのは半導体事業という最大かつ唯一の収益部門をもぎ取られた証券取引所市場第二部銘柄の東芝の姿だ。しかも生き残った子会社のWECでは、原発プロジェクトから追加原価が際限なく出てくる。収益部門がなくなり赤字の垂れ流し部門が残るのだ。そんな東芝を残すことに何の意味があるのか?
 東芝は、今後は原発の新規受注は行わず、すでに受注した新設ブランドは機器提供やエンジニアリングに特化して土木建設部門のリスクは負担しないとか、現在進行中の8基の原発プロジェクトについてはあらゆるコスト削減施策を講じリスクの低減に努めるなどして、今後は追加原価が発生することはないと言うのであるが、これは切羽詰まった東芝の希望的観測に過ぎない。東芝は、東日本大震災の起きた2011年以降ずっと、原発プロジェクトに追加原価はなく、その収益は良好であると嘘をつき続けてきたのではなかったか? リスク管理を強化することにより追加原価の発生を抑えることができたのは、2011年の東日本大震災以前の話で、原発建設は、今やリスク管理ごときで追加原価を抑制できない時代に入っている。
 東芝再生のためには、新たな原発を受注しないだけでは駄目で、すでに受注した原発の契約破棄及び現在進行中の原発の建設中止まで行わないことには、お話にならない。日本国の内閣総理大臣まで駆りだして受注した原発プロジェクトをキャンセルするというのは、東芝の法的整理以外にありえない。
 ここで、東芝の債務超過の原因は、ひとえに海外の原発プロジェクトにある。だから、東芝本体はさておき、WECだけを米国連邦倒産法の申請に出せばいいのではないかという考えもあるが、それはトランプ大統領の逆鱗に触れるということ以前に、技術的な理由により出来ない。なぜなら、東芝はWECの原発プロジェクトの支払保証を行っているからで、その残高は2016年3月末時点で7935億円もあるのだ。WECが米国連邦倒産法の適用申請すれば、この保証債務は直ちに東芝の支払債務となる。「可能な限り支援していきたい」という三井住友銀行といえども、そんな金は貸してくれない。WECが米国連邦倒産法の適用申請すると、たちどころに東芝は資金ショートを起こして、倒産してしまうのである。この場合、再生プランは伴わないので東芝は破産となる。―続く。





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