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2017年4月 1日 (土)

債務超過による東芝の存続は ①

細野祐二(会計評論家)さんの第二弾の「東芝」について――― コピー・ペー:
 『世界』3月号では、東芝の「業績見通し」が2月14日に公表。東芝の「原子力事業で数千億円の特別損失」という12月末の衝撃ニュースは、結局、ウェスティングハウス(以下WEC)が買収したストーン&ウェブスター(S&W)の減損等7125億円ととして公表。この結果、東芝は、2016年12月末時点で1912億円の債務超過となったが、これは証券市場にそれほどの衝撃を与えなかった。東芝の株価は、2017/02/14の終値229円90銭に対して公表後2月15日の終値209円70銭と、20円10銭(8.7%)の下落でとりあえず事なきを得た。
 東芝の数千億円の特別損失をめぐっては、1月下旬来、既にマスコミ各社が、「損失最大7000億円」などとして、観測記事をさかんに流していた。東芝の2016年9月中間期末時点の連結純資産は3632億円だった、それで、7000億円もの特別損失が出れば債務超過になるのは当たり前で、このこと自体は、証券市場においてすでに織り込み済みだった。
 債務超過は織り込み済みだとしても、驚くべきは、東芝がこの日に決算発表が出来なかったことにある。元来、3月14日は、東芝の第3四半期決算の公表が予定されていた。現行の有価証券報告書開示制度において、公開企業は、四半期終了後45日以内に、監査法人の監査意見が添付された四半期報告書を財務局に提出しなければならない。東芝の第3四半期末は12月31日なので、その四半期報告書の提出期限は2月14日。東芝は、この日までに監査法人の監査意見が取れなかった。同日、東芝は、関東財務局に対して四半期報告書の提出期限の延期を申請し、新たな提出期限は3月14日となった。
 巨額減損報道を受けての決算発表だったので、東芝のこの日の決算発表は社会の注目度がすこぶる高かった。マスコミが固唾をのんで見守る中で、まさかの肩透かしを食らわす訳で、東芝としてもさすがに手ぶらという訳にもいかず、そこで形ばかりのお詫びのしるしとして出てきたのが、「2016年度第3四半期及び2016年度業績の見通し並びに原子力事業における損失発生の概要と対応策について」と題する業績見通し資料である。
 東芝は、四半期決算遅延の理由として「S&Wの買収の手続き過程で、内部統制の不備を示唆する内部通報があり、調査する必要が出てきた」ためと説明しており、今回公表した業績見通し資料においては、「この資料に含まれる財務数値は、独立監査人によるレビュー手続き中であり、大きく修正される可能性があります。」と注記している。
 もとより、2015年10月の買収段階で100億円程度と想定していたS&Wの「のれん」が、1年以上経った今頃になって突然7000億円に膨れ上がるというのは、なんとしてもおかしく、この話にはどこか嘘がある。0ドルで安く買ったつもりのS&Wに、1年以上経って、実は巨額の損失が隠されていたと言うのである。この不可解なS&Wの買収は、際限なき追加原価の発生でWECの原発建設が立ち行かなくなっている実態を隠蔽するためというのが、3月号の分析結果であった。
 今回東芝が分析結果を逆手に取り、「S&Wの買収手続き過程で、内部統制の不備を示唆する内部通報があり、調査する必要が出てきた」などと開き直るのは細野としては感心しない。東芝は、突然の追加原価の発覚を内部管理体制の問題に責任転嫁して、このことを、決算遅延の理由にするが、これは自らの首を絞めることになる。何故なら、東芝は、内部管理体制の不備を理由として、すでに、東京証券取引所の特設注意市場銘柄に指定されているからである。2016/12/19付、特設注意市場銘柄の指定継続の理由書を転載 する。
 株式会社東芝は、2015/07/20に不正会計に関する第三者委員会の調査報告書を開示するとともに、同年9月8日に過去の決算短信等の訂正を開示しました。これらによると、同社では、経営陣から事業部門に対して、通常の事業活動を進めていく中では達成困難と考えられる損益改善要求が行われており、事業部門ではそれに応える形で不正会計が実施されていたことがみとめられました。また、同社において業務執行の監督又は監査の役割を担うべき取締役会や監査委員会は、不正会計を是正させる行動をとることがなく、業務実態の把握および事業部門との情報連携が不十分であったことが認められました。加えて、財務部や経営監査部等のモニタリング機能を発揮すべき部門がその機能を十分に発揮してなかったこと、及び全社的に適正な会計処理を行うことに対する意識が希薄であったこと等が認められました。
 以上により、同社の内部管理体制等について改善の必要性が高いと認められたことから、2015/09/15に同社株式を特設注意市場銘柄に指定しました。
 今般、当該指定から、1年を経過した後に同社から提出された内部管理体制確認書の内容等を確認したところ、同社では、短期的利益を過度に追及する経営方針を見直し、取締役会や監査委員会の構成の見直しとその運営方法の変更、及びモニタリング機能を発揮すべき部門の体制整備と機能強化など、全社的に改善に向けた取り組みが行われていることが認められました。
 しかしながら、同社では、同社株式を特設注意市場銘柄に指定した後においても会計処理等に関する問題が確認されるなど、コンプライアンスの徹底や関係会社の管理等において更なる取り組みを必要とする状況が存在しており、これらの改善に向けた取り組みの進捗等についてなお確認する必要があると判断しました。これらを踏まえると、同社の状況は内部管理体制等に問題があると認める場合に該当することから、同社株式について特設注意市場銘柄にを継続することにしました。
 なお、当該指定から1年6カ月を経過した日(2017年3月15日)以後に、同社提出される内部管理体制確認書の内容等を確認し、内部管理体制等について改善がなされなかったと認められた場合は、同社株式は上場廃止となります。




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