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2017年5月25日 (木)

電通事件 ④

続き:
 そして、オリンピック以外で電通が関わる非常に重要な国家的行事が、実はもうひとつある。まだほとんどの国民は意識していないが、それが憲法改正国民投票だ。憲法改正を国民自身に選択させようとする制度で、2007年に法制化されたのである。国会で三分の二以上の賛成があれば国民投票を発議でき、発議後60~180日以内に投票しなければならない。
 憲法改正は自民党結党時からの重要課題であり、現在の安倍首相は特に憲法改正に執念を燃やしている。そして、今年の3月の自民党大会でも、憲法改正実現を目指すと宣言した。現在の衆院任期は2018年末迄だが、次回選挙では現在の与党で発議に必要な三分の二議席を維持できない可能性が高い。
 そうなると、国会発議できる議席数を今、保持している間に国民投票を実施しなければ、次に国会発議できるのはいつかわからなくなる。つまり、今年の臨時国会が開かれる秋から来年の夏頃までに国民投票が行われる可能性が非常に高くなったのだ。
 しかし現行の国民投票法には大きな問題がある。投票運動の広告宣伝について、ほとんど規制が無いのである。最大の問題点は、運動期間における広告宣伝に関して、「投票日前14日間のテレビCM放映禁止」以外は、ほぼ何の制約もないことにある。広告宣伝に投入できる縛りすら無いから、カネのあるほうは期間中無制限に広告宣伝を打てるのに対し、そうでないほうはメディアに何も主張できないことになる。
 もう少し具体的にいうと、国民投票が国会で発議されると、そこから最低60日、最長180日間の「投票運動期間」となる。衆参の選挙運動期間が約2週間なのに対し、これはかなり長いことになる。そしてこの運動期間中、賛成・反対派共に、あらゆるメディアで無制限に広告を展開できることになっているのだ。この場合、広告出稿できるのは政党と事前に登録した企業、団体である。つまり登録さえすれば、企業がいくら広告費を投入しても上限の規制は無いのである。
 因みに、衆参の選挙でメディアに投入される広告宣伝費は約500億円程度(選挙公営からの拠出の他、各政党独自の広告費を含む)であるが、選挙期間の長さからみて、少なくともその4~5倍、場合によっては10倍以上の広告費が投入されることになるだろう。
 このように書いてくると、改憲派・護憲派双方が自由に宣伝合戦できるならいいではないか、と錯覚しがちだが、ことはそんなに単純ではない。何故なら、予想される国民投票は与党(自民・公明)が主導し、好きなようにスケジュールを組み立てられる。つまり、広告宣伝における「メディア戦略」を早くから構想し、自分たちに一番都合の良いように展開できるからだ。そしてその戦略を立て、実行するのが電通である。




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