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2017年5月24日 (水)

電通事件 ③

続き:
 そうした自浄作用の無い組織が、酷暑の現場で働く10万人規模のボランティアをタダでこき使おうと動き出している。2016年12月、組織委は「東京2020大会に向けたボランティア戦略」なる文書でボランティア募集に関する基本姿勢を明らかにした。その中で、ボランティア要件を、
 ・10日以上参加できる方
 ・オリ・パラ競技に関する基本的な知識がある方
 ・スポーツボランティア経験をはじめとするボランティア経験がある方
 ・英語やその他の言語のスキルを活用したい方
 などとし、費用に関しては、
 ・大会ボランティア・都市ボランティアともに無料での活動である
 ・原則として、東京までの交通費・宿泊も自己負担
  と明記していた。だが2016年7月にこれの素案が示された際に、「こんなハイスペックな人材をタダで使おうというのか?」「通訳能力までただで提供しろというのか?」などと組織委に避難が殺到したので「まだ素案の段階」として誤魔化した。しかし今でも殆ど内容は変更せず、語学スキルの部分を曖昧にして再度出してきたのだ。
 7月の騒ぎの際、京都大学の西山教行教授は東京新聞への投稿で「通訳はボランティアが妥当との見解は外国語学習への無理解を示すばかりか、通訳や翻訳業の否定にも結び付きかねない」「街角での道案内ならさておき、五輪の翻訳や通訳をボランティアでまかなうことは、組織委が高度な外国語能力をまったく重視していないことの表れである」と痛烈に批判している。西山教授が見抜いたとおり、組織委の人々は語学能力を重視していないどころか、あらゆる人々の能力や善意を軽視し、タダで使おうとしているのだ。
 しかし、7月末から8月の東京は酷暑だ。そんな時期に何時間も外でボランティアを活動させたら、熱中症で倒れる人々が続出するだろう。それを無保険、全て自己責任でやらせていいのだろうか。
 実は、天候によるアクシデントは1998年の冬季の長野五輪でも問題になった。吹雪の中で、一日中駐車場整理等に借り出されたボランティアが次々に体調を崩し、人員不足になった組織委は地元企業から「有償ボランティア」を派遣して貰い、急場を凌いだのだ。企業から派遣された人々は、表向きはボランティアとされながら、実は有給で、けがや病気の際に備えて保険にも加入していた。無償ボランティアとは全く違う待遇だったのだ。冬と夏の違いはあるが、今度の東京五輪でも必ずこの問題は起こってくる。ボランティアの無償・無保険は絶対にやってはならない。
 ここで筆者(本間)の主張を記す。
 ・東京五輪は完全な商業イベントであって、その運営は巨額のスポンサー料で成される。
 ・全ての費用はスポンサー費用で賄われ、組織委、JOC、電通などの運営陣は全員高額の有給スタッフであり、無償奉仕している者は一人もいない。
 ・それなのに、酷暑の現場に立ち、消耗度が激しい現場ボランティアが全員無償というのはおかしい。
 ・「五輪だからボランティアは無給」などという決まりはなく、それは運営側が流すデマである。
 ・五輪までまだ三年もある段階で、すでにスポンサー42社から3800億円以上の巨額資金を集めたのだから、無給ボランティアを使う必要はなく、全て有給とすべきである。
 ・仮にボランティア10万人にオリ・パラ期間の30日間、日当1万円を払っても300億円で事足りる。集めたスポンサー費用で十分賄うことが可能で、しかも経済効果に繋がる。
 もちろん、世の中には五輪ボランティアを生き甲斐にして世界を回る人もいるから、それはそれで構わない。しかし、東京五輪に必要な人員はケタが全く違う。組織委が必要とする10万人を集めるためには、感動を押し売りし、善良な人々の奉仕精神を利用しなければとても集められる数字ではない。しかし、それを組織委は無償でやらせようとするのは明らかに「感動詐欺」「やる気詐欺」とも言うべきで、絶対に許されることではないと考える。  
  




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