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2017年5月26日 (金)

電通事件 ⑤

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 では具体的に、どのようなことが起こりうるのか列挙すると、
①改憲派は自民党を中心に結束して宣伝戦略を実行し、最初から電通が担当することが決まっているのに対し、護憲派はバラバラで何も決まっていない。改憲派は国会召集以前から周到なメディア戦略を構築することが可能である。
②改憲派は国会発議のスケジュールを想定できるのに対し、護憲派はあくまで発議阻止が大前提のため、発議後にようやく広告宣伝を開始する。この初動の差が非常に大きい。
③改憲派は自民党の豊富な政党助成金、経団連を中心とした大企業からの献金を短時間で集めて広告宣伝に使えるのに対し、護憲派は国民のカンパが中心となると思われ、集めるのに時間を要する。さらに、集まる金額も桁が違うことが予想される。広告代理店とメディアは支払い能力の有無を厳しく査定してから広告を受注するので、ここでも大きなタイムラグが生じる。
④改憲派は電通を通じて発議までのスケジュールを想定して広告発注を行い、TVCMのゴールデンタイムをはじめあらゆる広告媒体(新聞・雑誌・ラジオ・ネット・交通広告等)の優良枠を事前に抑えることができる。その際、電通は「自動車」「家電」などのダミーネームで広告枠を抑えるため、護憲派はそれを察知できない。発注が遅れた護憲派のCMや広告は、視聴率などが低い「売れ残り枠」を埋めるだけになる可能性が高い。
⑤もし投票日が発議後60日後の最も短期間になった場合、改憲派は事前準備して発議後翌日から広告宣伝をフル回転(広告を放映・掲載)できるのに対し、護憲派がTVCMなどを放映開始できるのは(制作日数を考慮すると)どんなに早くても2~3週間後となり、その間は改憲派の広告ばかりが放送・掲出されることになる。さらに週刊誌や月刊誌などへの広告掲載はすでに優良枠を買い占められ、護憲派はほとんど何も掲載できないまま投票日を迎える可能性すらある。
⑥改憲派は雑誌関係でも国会発議予定日に照準を合わせ、「国民投票特集」のような雑誌タイアップ本、ムック・新書・単行本の企画・発売を計画できるが、護憲派にそんな時間的余裕はなく、書店店頭は改憲派関連書籍によって占拠される可能性がある。
⑦改憲派は豊富な資金に物を言わせて大量のタレントを動員し、出演者が毎日変わる「日替わりCM」も制作可能。老若男女に人気の高いタレントや著名人をターゲット層に合せて出演させ、「改憲YES !」「改憲、ちょっと考えてみませんか」と毎日語りかける演出ができる。
というように、初動の遅れが護憲派に壊滅的打撃を与える可能性が非常に、非常に高い。仮に護憲派が相当な資金を集め得たとしても、それを使う場所が全て事前に抑えられていたら、どうしようもないのだ。総金額で同じ広告費を投入しても、視聴率の低い時間帯にいくらCMを流しても無駄だし、購読率の低い雑誌や新聞の広告枠をいくら大量に買っても、やはり意味が無いのである。
 さらに、ことは広告宣伝だけに止まらない。巨額の広告費投入はクロスオーナーシップで構成される日本の報道現場にも、大きな影響を与える可能性が高い。
 このように書いても、「それは広告費を伴う活動に限ったことだ。報道や討論番組は広告に関係なく中立なはずだから、宣伝広告費の多寡は関係ない」と考える人もいるだろう。ところが、残念ながらそうはならない。




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