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2017年5月23日 (火)

電通事件 ②

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 2月、五輪組織委の武藤敏郎事務総長が、大会ボランティアの募集を競技会場がある地方自治体にも協力要請する考えを示した。多くの会場が郊外に移転した(自転車のトラック競技は静岡県伊豆市、サーフィンは千葉県一宮町、野球とソフトボール予選は福島県福島市等)ため、組織委で募集する大会ボランティア約8万人と、都が募集する都市ボランティア約1万人の枠組みだけで対応しきれないとの理由なのだが、分っていたこととはいえ、いよいよ「オリンピックをダシにした、ただ働きボランティア集め」が地方にまで波及してきたと感じた。
 組織委は2016年12月の段階で、五輪総運営費を1.6~1.8兆円と発表した。都の検証委は3兆円の可能性もあるとしたがその後様々な縮減を行いかろうじて2兆円を切る数字を作り上げた。それとて当初予想の7300億円の2.5倍近い数字であり、恐らく大会が迫れば火事場泥棒的に様々な経費が投入され、されに大幅膨張するに決まっているからとても信用するなどとてもできないシロモノだ。
 では支出を1.8兆円としたのに対し、収入はどうなのか。これが眉唾なのだが、スポンサー契約料やチケット売り上げで約5000億円の売り上げを見込むと発表している。しかしこれはどう見ても少なすぎる。組織委のHPにある「大会運営に関する収入の割合」(2013年)によれば、大会運営費全体のうち、ローカルスポンサーシップ(27%)とチケット売り上げ(23%)を足した50%部分が5000億円に該当するのだが、組織委が集めたスポンサー契約金は現在既に41社分で3870億円(ゴールドパートナースポンサーシップ1社150億×15社、オフィシャルパートナー60億×27社を合算)を超えているはずであり、それを基準に考えれば、チケット売り上げも3870億円程度は見込むはずだ。そのトータルでは7400億円超となり、組織委の5000億円という発表とは違い過ぎる。
 もし当初予想の総予算7300億円をベースとして考えるなら、スポンサーシップはその27%で1971億円になるが、電通が猛然とスポンサー集めに奔走した結果、当初予想の倍近いカネが集まっている。そして仮にスポンサーシップを現状の42社分で3870億円、チケット売り上げは当初予測のままで、1971億円のままだとしても、合算すれば5841億円となり、これでも組織委の発表よりも多くなる。さらにいえば、組織委と電通はオフィシャルカテゴリーの下にもう一つのカテゴリーを作って新たなスポンサー獲得を目論んでおり、スポンサー契約料はさらに増える見込みなのだ。
 もちろん、たとえ収入が7000億円を超えても、国立競技場や各地の競技場の新・増設や道路工事費などを含めた1.8兆円には足りない。しかし、30日間のオリンピック・パラリンピック自体の実施費には十分すぎるカネをスポンサー企業から集めているのだ。
 それなのに組織委は「カネが足りない」などといって東京都や国に財政支出を要請している。それは、彼らが今回集めたカネを全部合計五輪で使い切る気持ちがないからだ。将来のアスリート養成のためだとか理由をつけて、相当な金額を内部留保にまわす気なのだろう。
 しかし、それだけのカネを集めておきながら、その財務内容の詳細を明らかにしていないので、どのような支出がなされているのか不透明であるのだ。この点は東京都の検証委でも問題となり、小池知事は組織委を東京都の監理下に置こうとしたが、「森元首相の抵抗」にあっていて実現していない状態である。
 さらに、カネが無いと言いながら、組織委は虎ノ門ヒルズという超一等地に事務所を持ち、年間5億円以上もの賃貸料を支払っている。会議をするなら都庁近くのほうが便利なのに、わざわざ新築で賃料の高い虎ノ門ヒルズに移ったのだ。このあたりに、JOCの金銭感覚の異常さ、「オリンピック貴族」ぶりが如実に表れている。ちなみにこの貴族たちは理事35人、役員と評議員だけで43人もいる。さらに参与が12人、顧問会議はなんと170人という大所帯だ(2014年当時)。彼らに支払われる日当や交通費、会議費などの経費も巨額なのに、それを削減しようなどとは思わないらしいのだ。




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