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2017年5月31日 (水)

Science 必要な糖と代用甘味料の知識 ③

続き:
5 . 糖質系甘味料
1)デンプン由来の糖
(1) グルコース
   天然ではブドウの汁に存在しているためブドウ糖とも呼ばれ、デンプンやグリコーゲンの構成要素。スクロースより甘みが少ないため単体で甘味料として使用されることはなく、コーンシロップの成分として使用される。
(2) フルクトース
   果糖とも呼ばれ、果実や蜂蜜の中に多量に存在する。天然の糖分としては甘味度が高く、相対的に使用量を減らすことができるので、ローカロリードリンクによく使用される。フルクトースの甘さは温度によって大きく左右されるため、フルクトースを含む果物は冷やすと甘みが強くなる。近年、フルクトースはインスリン抵抗性を助長し、肥満、動脈硬化を促進するため、過剰摂取には注意が必要といわれている。
(3) 異性化液糖(コーンシロップ)
   トウモロコシのデンプンを加水分解して、主としてグルコースからなる糖液を作り、さらにグルコースイソメラーゼという酵素によって、グルコースの一部をフルクトースに変換(異性化)して作られた糖を異性化糖、その混合糖液を異性化液糖、通称、コーンシロップと呼ぶ。安価に生産できるのことから今は、広く普及している。成分表示では「果糖ブドウ糖液糖」などと表示される(果糖とブドウ糖の比率で名前の順序が異なる)。
(4) マルトース
   マルトース(麦芽糖)は、大麦のデンプンをアミラーゼにより加水分解して得られる。グルコースが2分子α-1、4-グリコシド結合した2糖で、水飴の主成分である。
   純粋なマルトースやその結合様式が異なるイソマルトース、マルトースにもう一つのグルコースがα-1、6結合したパノースには、ミュータンスレンサ球菌によるグルカン合成の抑制作用があり、これらを多く含むグルコシルオリゴ糖には動物実験でう蝕抑制能がある。
2) その他の糖
(1) ラクトース
   ラクトースはガラクトースという単糖とグルコースが1分子ずつβ-1、4-グリコシド結合した二糖で、哺乳類の乳汁に含まれているため、「乳糖」とも言う。ラクトースは腸で、β-ガラクトシダーゼという酵素によって加水分解される。この酵素が欠乏すると、「乳糖不耐症」になる。ラクトースは甘味料としては使用されていないが、ヒトの母乳に7%含まれ、歯科的には「哺乳(瓶)う蝕」の原因になるといわれている。多くの口腔細菌はラクトースから酸を産生するが、研究では、ラクトース単独で、う蝕が発生することはない。
(2) トレハロース
   マルトースと同じ様にグルコースが2分子1、1-グリコシド結合した二糖で、きのこ類や酵母などに含まれる。トレハローズには細胞やたん白質を凍結や乾燥によるストレスから保護する作用がある。この高い保水力や品質保持効果のため、甘味料としてよりも、乾燥や凍結から食品を守るためにパンやケーキなど多くの食品に使われる。
(3) パラチノース(物質名:イソマルツロース)
   パラチノースは天然には蜂蜜やサトウキビにわずかに含有している成分で、スクロースと同じくグルコースとフルクトースが1分子ずつ結合した2糖であるが、スクロースのα-1、2結合を酵素の作用によりα-1、6結合に転移させたスクロース異性体である。小腸でイソマルターゼによってグルコースとフルクトースに分解・吸収され、消化吸収速度がスクロースの1/5程度であるので、血糖値の上昇が穏やかで、医療・健康分野の食品に広く用いられる。
   パラチノースはスクロースと結合様式が異なるため、口腔細菌の酸産生の基質になりにくいだけだなく、ミュータンスレンサ球菌のGTFによるグルカン合成を阻害する。パラチノース存在下ではGTFは、パラチノースにグルコース残基を添加しようとするが、糖構造が異なるためにオリゴ糖レベルまでしかグルコース残基を添加できず、多糖が産生されない。その結果、粘着性グルカンの産生が抑制される。パラチノースは、甘味度があまり高くないことやコストの問題があるものの、動物実験においてう蝕抑制作用を示すので、菓子類への使用や、歯磨剤への添加など歯科分野においてもさらなる利用が期待される甘味料である。
(4) オリゴ糖類
   フラクトオリゴ糖はスクロースにフルクトースが1~数個結びついたもの、ガラクトオリゴ糖はラクトースにガラクトースが1~数個結びついたものである。いずれも腸内細菌叢を改善して整腸作用を示す機能性食品として用いられている。フラクトオリゴ糖にう蝕の阻害効果の報告もあるが、製品には製造原料のスクロースが含まれているので、実際の抑制効果は無いと考えられる。




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