« 「共謀罪の現実」 ② | トップページ | 「共謀罪の現実」 ④ »

2017年6月12日 (月)

「共謀罪の現実」 ③

続き:
■ 情報収集等の違法性をめぐる論点 <2>
 (3)   不当な情報提供
  大垣警察がS社に対して当事者の情報を漏ら(提供)した行為には、次のような問題がある。
 ●目的の不当性 この点についてはすでに述べたが、このような情報交換が警察主導で行われた事がさらに大問題になったのだ。
 ●私企業の利益をはかるものであること S社は中部電力の子会社であり、一私企業にに過ぎない。このような私企業に、当事者の情報を積極的に提供したうえ(「60歳を過ぎているが東大を中退しており」など)、「このような人物(Cのこと)と岐阜コラボ法律事務所との連携により、大々的な市民運動へと展開すると御社(S社)の事業も進まないことになりかねない。」と述べ、「大垣警察署としても回避したい行為であり、今後情報をやり取りすることにより、平穏な大垣市を維持したいので協力をお願いする。」と引き続き情報交換を持ちかけている。警察が一私企業の利益を図り、そのために市民の権利利益を害するという偏った活動を行っていた。
 ●私的な紛争への介入であること 警察がみだりに民事紛争介入をしてはならないことは、警察公共の原則の重要な内容であり、特に民事不介入の原則と呼ばれる。
 S社は、A及びBが問題としている風力発電施設の事業者であり、相手方である。A及びBは本件事業による健康被害や生活環境への悪影響を危惧しており、S社との間には利害対立があり、民事紛争が潜在化していたと言い得る。こういった状況の中で、対立当事者の一方を利益するのは、民事不介入の原則に反する行為であるのだ。しかも、警察が提供した情報の中には、法律事務所に相談に行ったことも含まれている。― Bのこと。
 ●二次被害をかえりみないものであること 警察がS社に提供した情報の中には後述するように極めてプライバシー性の高い情報も含まれている。これを、伝播されない保障のない状態(S社の従業員は、AないしDに対して何ら守秘義務を負わない)で提供することは、高度な法律の違法性を有しているのだ。
 ●収集目的と情報提供ににズレがあること C及びDは、大垣警察とS社との情報交換が行われた当時、本件風力発電施設建設と関わりを持っていなかった。それにも拘わらず、C及びDの情報提供が行われた。これは、収集された情報の目的外利用という他ない。
 (4)   そもそも「公共の安全と秩序の維持」に該当しない
  情報交換が行われた当時、風力発電施設建設は、まだアセスメントが行われていた段階であり、建設事業は具体化していない。つまり、反対運動によるトラブル、すなわち「公共事業の安全と秩序の維持」が害されるなどの段階では全くなかった。したがって、情報提供の必要性も全くなかった。このようなはるか前段階においての情報収集、情報提供は、「公共の安全と秩序の維持」に名を借りた市民の監視という他ない。
 





« 「共謀罪の現実」 ② | トップページ | 「共謀罪の現実」 ④ »

日記・コラム・つぶやき」カテゴリの記事

トラックバック


この記事へのトラックバック一覧です: 「共謀罪の現実」 ③:

« 「共謀罪の現実」 ② | トップページ | 「共謀罪の現実」 ④ »