« Science 漢方を知る ① | トップページ | Science 漢方を知る ③ »

2017年6月30日 (金)

Science 漢方を知る ②

続き:
2. 漢方薬の特徴
1)漢方薬は複数の生薬から構成されている
 漢方薬には複数の効果を持つ生薬が配合されている。例えば、葛根湯がある。葛根湯というと、初期の風邪に効くというイメージがあるかもしれない。実は葛根湯は7種類の生薬で構成されているので、さまざまな病態、頭痛や感冒、肩こりや神経痛などに効果がある。このように、漢方薬は必ず複数の効果を持つ生薬が、複数配合されているために、複数の要因による疾患や、責任病巣が明らかでない場合に対して有効なことがある。具体的には血液循環の改善、炎症の抑制、体力増強、免疫調整、自律神経機能調整などの機序により効果を上げる。歯科においても、なかなか治らず繰り返される口内炎、歯周炎、口腔乾燥症、味覚異常、口臭、舌痛症、顎関節症、非歯原性歯痛、神経痛、顔面痛などに対して有効なことがある。以上から漢方は心身全体の調子を整え、複合的に病気を治療するという戦略をとっている。
2)処方は診断名によらない
 処方は診断名に対して行われるのでなく、患者の体質、疾患の増悪因子(寒冷、湿気、疲労など)、臨床状態の違いによっていくつかのタイプに分類した上で行われる。例えば白虎加人参湯は、赤ら顔、目の充血、口中の熱感、口臭、口渇、便秘などの症状を目標に処方される。これらの症状を示す患者は、舌質の色が紅色で、舌苔は厚く黄色であることが特徴である。以上の臨床症状があれば、診断名によらず、白虎加人参湯を処方候補として検討する。実際に口内炎や口腔乾燥症、三叉神経痛、糖尿病などに処方されている。
3)漢方薬にも副作用がある
 副作用のないイメージがある漢方薬であるが、例えば、身体の熱を冷ます効果のある白虎加人参湯を、虚弱体質で冷え性の患者に処方した場合、症状が増悪してしまうことがある。このように体質に合わないときは、体質に合わせた処方を必要とする。また、漢方薬を構成している生薬にも副作用があるのだ。例えば、白虎加人参湯に含まれている人参は血圧上昇やのぼせ、不眠などを起こすことがあり、甘草にはむくみ、体重増加、低カリウム血症などがある。使い方を注意すること、構成している生薬についても効能と副作用の知識を持つことが大切である。
 一方、漢方薬の中には、作用が穏やかで、仮に間違った処方をしたとしても、効果がないだけで有害作用が現れないものも少なくない。比較的失敗の少ない漢方薬を、できれば、自身に使ってみて、その効果を体験することも、漢方薬に慣れる第一歩と考える。
 




« Science 漢方を知る ① | トップページ | Science 漢方を知る ③ »

日記・コラム・つぶやき」カテゴリの記事

トラックバック


この記事へのトラックバック一覧です: Science 漢方を知る ②:

« Science 漢方を知る ① | トップページ | Science 漢方を知る ③ »