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2017年6月 2日 (金)

Science 必要な糖と代用甘味料の知識 ④ー1

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3) 糖アルコール
 糖アルコールは糖を還元して水素を2つ添加したもので、工業的に生産される。化学的命名法によって、もとの糖名の末尾に「~トール」は付く。
 糖アルコールは消化吸収がされにくく、大腸に達するとその浸透圧を高めて水の吸収を阻害するため、緩下作用(下痢)を起こす。これが糖アルコールの最大欠点であり、特に小児に対しての使用は慎重にすべきだ。糖アルコールは酸産生の基質にならないためう蝕誘発能は無いが、抑制作用は無い。
(1) ソルビトール
   グルコースを還元して作られる。化学的に安定で、保湿性や保香性があることから、ソルビトールは食品の品質改良の目的で広く利用される。医療分野では歯磨剤や含嗽剤に用いられている他、燃料電池にも利用される。
(2) マルチトール
   マルチトースを還元して作られる。マルチトールは口腔レンサ球菌の酸産生の基質にはならず、グルカン合成能を阻害する。動物実験では、う蝕誘発能はないものの、スクロース存在下でのう蝕抑制能については、認められたり、認めなかったりする場合がある。通常動物実験での飼料中の糖濃度は56%であるが、マルチトールの場合、ラットが下痢で生存できず、飼育可能であったのは40%に下げられている(論文―未発表データ)。
(3) キシリトール
   キシリトールは木材にふくまれているキシランという多糖を構成するキシロースから作られる。キシリトールは溶解する際、熱を吸収する性質があり、摂取すると冷涼感や爽快感を感じられる。インスリンと無関係に代謝され、血糖値を上げないため古くから糖尿病患者の食事等の医療分野で使用されてきた。キシリトールは甘味度がスクロースに近いため、代用甘味料としては使用されやすい。日本では1997年に初めてキシリトールを配合したガムが発売されて以降、一般認知度が飛躍的に高まった。
 キシリトールのう蝕に対する作用については、商業的な側面が重視されており、その根拠については正確な議論がされていない。2015年にEBMの分野で権威のある Cochrane Library にキシリトールを含む製品のう蝕抑制効果に関するシステマティックレビューが掲載されている。それによれば、総計で5903人を対象とした10の研究において、7つの研究に大きなバイアスが認められるなど、バイアスが大きくかかっている研究が多く、全体的に信頼性に欠けると結論されている。



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